4. 住友商事の年間株価チャート

ここまでで、住友商事の今回の決算の全体像はつかめたのではないでしょうか。

ここからは、5月の決算発表を機に急騰し、その後調整を経て今回の決算までの株価の値動きを振り返ります。

同社株は、2025年夏場は1,000円前後(分割後換算)で推移していましたが、2026年に入ってから緩やかに水準を切り上げ、5月の決算発表を機に急上昇し、同月中旬にこの1年で最も高い水準を記録したものの、その後は調整局面に移行しています。

具体的には、5月1日の場中に発表された決算内容(過去最高益の見通し、増配、自社株買い、および1株→4株の株式分割)が大きなポジティブサプライズとなり、同日はストップ高(分割後換算の終値1,710円)を記録しました。その勢いのまま買い進まれ、5月13日には年初来高値となる1,943.8円(同日高値、分割後換算)まで上値を伸ばしています。

しかし高値更新後は、中東情勢の緊迫化や半導体関連銘柄への資金集中などを背景に、5大商社の一角である同社株にも利益確定などの調整売りが優勢となり、下落基調へ転じました。

7月1日の株式分割実施後は、しばらく1,489円(7月17日の安値)~1,635円(7月23日の高値)のレンジ内で横ばいの値動きが続きました。

分割から1カ月となる31日は、2027年3月期1Q決算での増益などが好感されて株価は一気に水準を切り上げ、終値1,670円(前日比+78円、+4.90%)と、株式分割後では最も高い終値をつけました。7月に続いていた横ばいレンジを、決算発表という材料で明確に上抜けた格好です。

こうして1年間の値動きを振り返ると、2025年後半から2026年初にかけてじわじわと株価水準を切り上げてきた同社株が、5月の決算発表でさらに大きく買われ、その反動で6月に調整し、7月は一旦落ち着いていたところに、今回の決算で再び上昇に転じた、という流れが見えてきます。

住友商事の12カ月チャート1/1

住友商事の12カ月チャート

出所:各資料より筆者作成

5. 2026年7月31日の株価終値は「1,670円」

31日は、前日終値1,592円を小幅に上回る1,625円で寄り付き、前場はほぼ横ばいで推移しました。

取引時間中である13時過ぎに1Q決算が発表されると瞬間的に1,539.5円まで売られたものの、すぐに反転し1,697.5円と節目の1,700円近くまで急騰。

大引けにかけてはやや下げ幅を縮めて、結局前日比78円高(+4.90%)となる1,670円で取引を終えました。

5.1 配当利回りは2.40%

なお、配当については、2027年3月期の年間配当金予想は分割後ベースで40円(第2四半期末20円、期末20円)に据え置かれています。

分割を考慮しない実質ベースに換算すると160円となり、前期実績の150円から10円の増配となる計画です。

6. 記者コメント

住友商事は、今後の中東情勢を含めた事業環境の変化を精査したうえで、第2四半期に通期見通しの見直しを行うとしており、通期予想6,300億円には300億円のバッファーがあらかじめ織り込まれています。

今回減益となった自動車・都市総合開発についても、前年の一過性要因の反動という性格が強く、資源やエネルギートランスフォーメーション、デジタル・AIなど成長分野で幅広く増益を確保できている点は、今回の決算の底堅さを示しているといえそうです。加えて、輸送機・建機セグメントではSumisho Air Leaseの買収が完了し、下期にかけて機体売却を加速する方針となっており、この分野の利益貢献が今後どこまで積み上がってくるかも注目されます。

株価面では、本日の上昇によって7月のレンジを上に抜け、株式分割後の最高値を更新しましたが、5月につけた年初来高値(1,943.8円)にはまだ距離があります。

増配方針(分割後ベースで前期比10円増配)が据え置かれたことも踏まえると、配当を意識した個人投資家にとっては引き続き注目しやすい銘柄と言えそうです。もっとも、中東情勢の影響がどの程度実際の業績に表れてくるかは、次の決算発表(2026年11月頃を予定)まで見極める必要がありそうです。

参考資料

高原 祥子