5. Z世代の結婚観の新基準は「3共(共働き・共有・共同)」
物価高や上がらない実質賃金といった厳しい経済環境の中で社会に出た若い世代は、結婚やお金に対して非常にシビアかつ合理的な価値観を持っています。
これから結婚を迎えるZ世代の価値観は、上の世代から大きく変化しているのです。
株式会社スマートバンクが実施した意識調査によると、これからの夫婦像として「共働き・共有・共同」の『3共』という考え方が浮かび上がってきました。
5.1 理想の財布は「共同財布」派が約66%
夫婦が全収入を持ち寄る(一体型)」(27.4%)と「一定の額を出し合う(拠出型)」(38.8%)を合わせ、66.2%が生活費をふたりで出し合う「共同財布」のスタイルを希望しています。完全な別財布を希望する人は少数派になりつつあります。
資産形成も「共同」で取り組みたい 結婚後にパートナーと協力して資産形成(新NISA等)に取り組みたいと思うかという質問に対し、男女ともに7割以上が「当てはまる」と回答しています。
かつてのように相手に単なる「高収入」を求めるのではなく、環境が変わっても揺るぎにくい安定した収入を重視し、お互いの経済状況をガラス張りにする。
そして、生活費の管理や新NISAなどの資産形成を「共同」で行っていく。この『3共』のスタイルが、不確実な時代を生き抜く新しいスタンダードになりつつあるようです。
結婚前からお金のすり合わせを行うことは、決して夢のない現実主義ではなく、安定したパートナーシップを築き、長く協力して歩むための前向きなステップと言えるでしょう。
6. 「今の年収」が直結する、将来もらえる「老齢厚生年金」のリアル
ここからは「少し遠い将来」の年金についても考えてみましょう。
日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれています。
1階部分は国内に住むすべての人が原則加入となる「国民年金(基礎年金)」、2階部分は会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。
このうち2階部分の「厚生年金」は、現役時代の給与(標準報酬月額)と加入期間によって、将来もらえる受給額が決まる「報酬比例」の仕組みをとっています。
つまり、いま稼いでいる「現在の年収」が、そのまま将来の年金受給額に直結しているのです。
相手の年収を知らない、あるいは働き方による年金への影響を知らないままでいると、リタイアを迎えた時に「将来の年金額が思っていたより少ない」という事態に陥りかねません。
配偶者が「年収の壁」を意識して扶養内で働くパートなのか、あるいは扶養を外れて自身で厚生年金にしっかり加入するのかによって、世帯としての将来の年金受給額は大きく変動します。
実際に、厚生労働省が公表している「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」から、女性の働き方別の年金受給額(令和8年度の月額目安)を見ると、その差は歴然です。
キャリアを重ねた女性(厚生年金中心)月額 13万4640円
- 平均収入35.6万円で33.4年間就業した場合
専業主婦の期間が長い女性(第3号被保険者中心)月額 7万8249円
- 平均収入26.3万円で約6.7年厚生年金に加入し、残りは扶養内などの場合
自営業やフリーランスの女性(国民年金中心)月額 6万1771円
- 平均収入25.1万円で約6.5年厚生年金に加入し、残りは国民年金の場合
このように、どのような働き方を選択するかによって、将来自身の口座に振り込まれる年金額には数万円単位の明確な差が生まれるのです。
だからこそ、今の年収と働き方を夫婦で共有し、どのライフコース(働き方の組み合わせ)を選ぶのかを話し合うことが重要です。
そして、将来もらえる年金額の目安を知った上で、必要であれば若いうちからiDeCoや新NISAを活用して共同で資産形成を行い、早めに老後資金の補強を始めることが豊かなセカンドライフへの鍵となります。
7. まとめ:夫婦の揺るぎない信頼関係は「お金の共有」から
お金の話は「プライバシーへの口出し」とネガティブに捉えられがちですが、共に生活を築き、長い人生を歩む夫婦にとって、経済状況の把握は避けて通れない大切な課題です。
株式会社トキハナの調査結果が示す通り、相手の年収・資産を知ったきっかけは以下のようになっています。
- 自分から聞いた(37.8%)
- 話し合いの場を設けて共有した(25.9%)
- 相手から自発的に教えてもらった(19.4%)
- 何となく把握していた(11.4%)
このように、日常の中で自然に相手のふところ事情を知るのを待つのではなく、自発的な行動が「共有」に結びついています。
現在の年収や貯金額を隠さず教え合い、教育費や住宅ローンといった将来の支出ピークにどう立ち向かうか、家計を守るために働き方をどう工夫するかを話し合うこと。
それこそが、家計の危機を未然に防ぎ、夫婦の揺るぎない信頼関係の土台となるかもしれません。
結婚生活や人生プランに直結する情報だからこそ、曖昧なままにするのではなく、ふたりでしっかりと向き合い、共有していくことが大切です。
まずは毎月の家計簿を共有するところから、勇気を出してお金の話し合いを始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 株式会社トキハナ「夫婦間の47.3%が、結婚のタイミングでお互いの「年収・資産」を知っていたと回答。令和夫婦の“お金の共有事情”を徹底調査」(2026年7月29日)
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年 二人以上の世帯(第8-5表)世帯主の年齢階級別貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年 二人以上の世帯 (第3-2表)世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」
- 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
- 株式会社スマートバンク「【Z世代の結婚観とお金に関する意識調査2026】物価高で、結婚願望のあるZ世代の半数以上が結婚観に変化 男女ともに7割以上が「結婚前に家計ルールの話し合い」を希望」(2026年6月2日)
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厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」(2026年1月23日)


