いよいよ10月1日から10%に増税される消費税(軽減税率対象品を除く)。いずれ買おうと思っている物を9月中に購入したり、増税後の節約を考えたりしている人は多いでしょう。
日用品や家電はもちろんのこと、車のような大きな金額が動く買い物は増税の大きな影響を受けることが懸念されます。しかし、増税前の駆け込み需要はそんなに発生していないとのこと。それは一体なぜなのでしょうか。中古車輸出の専門商社、株式会社ENGの山口和樹さんに増税前後の車事情を聞きました。
10月1日からの消費税増税に関して車が受ける影響
――増税に伴い、増税に伴って車に課される「環境性能割」が始まると聞きました。詳しく教えてください。
山口和樹さん(以下、山口):増税に伴って車関係が受ける影響のひとつは、まず50万円以上の自動車を購入した時にかかる地方税「自動車取得税」が廃止されることです。自動車取得税の税率は自家用車が3%、事業用車と軽自動車が2%でした。自動車を購入した時の消費税とこの自動車取得税の負担感が大きいことから、これまでも反対の声がありましたが、今回の増税で廃止となりました。
この自動車取得税の代わりに増税に伴う軽減措置として導入されるのが、新車中古車問わず購入時に適応される 「環境性能割」。これは、走行に際するCO2排出量などの環境負荷に応じて非課税~3%までの間で課税が決定される仕組みです。
たとえば電気自動車やハイブリッド車など、燃費基準を達成した低燃費の車に対しては非課税になるなど税金負担が軽減されます。一方、燃費基準によっては3%の課税になる自動車もあるので、電気自動車やハイブリッド車以外においては自動車取得税とさほど変わらない税負担になる場合もあるので注意が必要です。
――毎年4月1日時点で自動車を所有している人に課せられる自動車税についてはどうでしょうか。
山口:自動車税にも増税による変更があります。2019年10月以降に購入した新車(軽自動車を除く)から、毎年かかる自動車税は排気量に関わらず年額1000円から4500円の範囲で引き下げられます。細かく見ていくと、軽自動車により近い、もともと金額が少ない排気量が小さな車ほど、引き下げ額が大きくなります。1000~1500ccあたりの車に乗られている方は、実質で10%以上の軽減と、ある程度のメリットは感じられると思います。
つまり、消費増税によって自動車の本体価格は実質負担が増えるわけですが、他の税金まわりを調整して増税前後でそこまで大幅な変動が起きないよう、緩和措置が取られていると考えていいでしょう。そのため、増税前に急いで自動車を買う必要はそこまでないように思われます。