――自動車購入に関しては、増税前後どちらで買っても大きな変動がないことがわかりました。一方で、増税後に高値で売却できそうな車種はありますか?

山口:弊社は輸出専門なので海外への輸出という面から見ると、国内外問わず人気の車種は増税に関係なく値崩れしないので、いつ売却しても良いと思います。具体的な車種で言えば、上記のような理由からもハイブリッドや電気自動車は国内で人気が出ると予想されるので、高値で売却することも可能でしょう。

またそれ以外の自動車でも、購入時に高かったとしても1~2年で売却してローン残債を一括で返済できるほど値が落ちない例も多々あります。新興国ではミニバンやSUVが非常に人気で、かつ高年式車(5年未満の車)での取引だからです。実質、国産高級車を1~2年数万円から十数万円で乗るのと同じことです。

具体的な車種で言うと、トヨタのヴェルファイア、アルファード、ランドクルーザー、ハリアーあたりは国内外問わず人気があるため、売却候補が多く、高値で取引されるケースが多いです。

――逆に増税前に売却した方が自動車はありますか?

山口:上記以外の自動車についても、増税前後で売却金額に大きな違いはないのではないでしょうか。ただ、増税後は実質負担のあるなしにかかわらず、心理的な面からも消費の一時的な抑制が考えられます。実際、過去に消費税が5%から8%になった際も、消費の抑制がありました。もしすでに売却を考えているのであれば、増税前の早めの段階で検討することをおすすめします。

今回の増税幅は2%です。これまで説明してきたように、増税幅が10%を超えるような大幅増税でない限り、自動車の売買はいずれも実質的な負担はそこまで変わらないというのが業界的な認識です。

総合的に考えても、コンパクトカーや電気自動車はコスパが良い

――ほかに消費税増税タイミングで特筆すべき点はありますか?

山口:増税による全体的な物価上昇や、他の増税についても考慮しておいた方がいいのではないでしょうか。自動車本体はもちろんのこと、ガソリン代や高速代、駐車場代などの値上げは予想されています。自動車を所有している人やこれから売買を検討している人は、一度、維持費を含めた全体的なコストを見直す必要はあるでしょう。

トータルで考えると、やはり相対的に維持費のかからないコンパクトカーや軽自動車、また電気自動車などの自動車は増税後の購入や所有において負担がより少なく感じられるとは思います。

秋山 悠紀