なぜ「見ざる、言わざる、聞かざる」が投資格言なのか
「見ざる、言わざる、聞かざる」という格言を聞くと、関東地方出身の方であれば、小学校の修学旅行で行った日光東照宮の3匹の猿を思い出される方が多いと思います。
もう40年以上前のことですが、筆者も修学旅行は日光でした。今でも関東地方の小学校の修学旅行先の1位は日光だそうです(ちなみに、2位は京都・奈良、3位は鎌倉)。
東照宮では「小学生は、世の中の悪いことを見たり、聞いたり、言ったりしないで、素直なまま育ちなさい」ということを教わりました。今から考えると、ずいぶん現実逃避的な教えだなという感もありますが、当時は素直に納得していたと思います。
ところで、なぜ、この教えが投資格言なのでしょうか。
それは、江戸時代の米商人で米相場の神様と言われた本間宗久が、相場の教えとして「見ざる、言わざる、聞かざる」、つまり周囲の雑音に惑わされず冷静に自分で考えて投資判断を行え、という考えを説いたことが始まりと言われています。
その後、「闇雲に外からの情報ばかりに目を向けるな、自分の売買相場観などを他人にしゃべり過ぎるな、他人の意見を聞き過ぎるな、」といった3つの戒めを表す投資格言として後世に伝えられたということです。
この格言を今にどう生かすか
インターネット時代の現代は、株式投資に関する情報が、掲示板、ツイッター、フェイスブックなど様々な媒体にあふれかえっています。
そこには、非常に有益な投資情報もあれば、自分の投資判断を正当化するための”ポジショントーク”、単なる愚痴、誹謗中傷など、有益とは言えないものもあり、まさに玉石混状態です。
そこで大切なことは、情報を選別する力を付け、最終的には人の意見に惑わされず、自分で考えて投資判断を行えるように努力することです。常に、自分は自分という考えを持って判断することが大切です。
「見ざる、言わざる、聞かざる」とつぶやきながらインターネットに向き合い情報を収集する。情報洪水のネット時代を勝ち抜くためには、こうした余裕を持つことが、投資家には求められているのでしょう。
【2016年3月26日 投信1編集部】
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LIMO編集部