円安も加速し、1ドル163円をつける展開にもなりました。あわせて、物価の上昇が続く昨今、日々の家計管理や将来に向けた資産形成について再考する人が増えています。
そうした中で高い関心を集めているのが、新NISAを活用した資産づくりです。
運用益が非課税になる新NISAは、長期的な資産形成の強い味方となります。とはいえ、制度の仕組みや実際の効果を正しく把握していなければ、メリットを最大限に引き出すことはできません。
また、毎月の積立額や運用期間、想定する利回りの設定によって、将来的に手元に残る資産額には大きな差が生まれます。
この記事では、新NISAの基本構造や利点を整理するとともに、具体的なシミュレーション結果を交えて資産形成のプロセスをわかりやすく解説していきます。
※本記事で行うシミュレーションにおいて、累計の投資総額がNISAの生涯非課税保有限度額(総枠1800万円)を超える場合、その超過分については課税対象(課税口座での運用)となりますのであらかじめご留意ください。
ファイナンシャルアドバイザーをしております奥田です。日々ご相談をお受けしていて感じるのは、40代の子育て世帯の方の多くが「貯金だけでこの先やっていけるのか」という不安を抱えながら、投資の一歩目で立ち止まっている、ということです。
最近多いご相談としては、「毎月貯金できる余裕もない」「貯金をしているがこの先増える気がしない」というご相談が多いです。
このようなご相談に対して、私がまずお伝えするのは、お金を「使う時期」で分けることです。数年後に必ず使う教育資金は預金で確保する。一方、65歳頃から使い始める老後資金は20年以上の時間をかけられるため、積立投資に向いていますとお伝えしました。
こうしてお話をしながら論点を整理をしておはなしすると不安が安心に変わったという方も多いですし、家計に無理がない少額から新NISAのつみたて投資枠をスタートされる方が多いです。
新NISAはとても強力な制度ですが、いくら積み立てるか・何年運用するか・どのくらいの利回りを想定するかで到達点は大きく変わります。この記事では、40歳から25年間の積立シミュレーションを軸に、無理なく続けられる資産形成の考え方を整理しました。ぜひご自身の積立額に置き換えながら読んでみてください。
1. はじめるまえに押さえておきたい!新NISAの「メリット」とは?
NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を後押しする目的で2014年に導入され、2024年からはさらに使いやすく拡充された「新NISA」としてスタートしました。
最大の魅力は、投資で生じた利益に対して税金がかからない点です。
通常であれば、投資の運用益や配当金には約20%の税金が課せられます。しかし、NISA口座での運用なら非課税となり、得られた利益をそのまま受け取ることが可能です。
ただし、投資できる金額や対象商品には一定のルールがあるため、あらかじめ制度の内容を理解しておくことが重要です。
つみたてNISAでいわゆるインデックスファンドを活用したつみたて投資が普及していきました。また、海外の株式市場が堅調に推移したこともあり、多くの人が大けがすることなく資産形成が進んだというマクロ環境の恩恵もあったでしょう。
結果、10年弱経過した今、2025年末時点でNISA口座は2800万口座を超え、かなり普及したといえるでしょう。
1.1 「新NISA」で押さえておきたい6つの特徴
「新NISA」の主なポイントは以下の6点です。
- 非課税保有期間は無期限
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
- 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
- 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
- つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
- 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」
「投資」と聞くとまとまった資金が必要なイメージを持つかもしれませんが、最近ではネット証券などを中心に500円や1000円といった少額から投資できる商品が増加しています。
NISAを使えば、少額からでも投資信託や株式投資にチャレンジできるため、これまで投資経験がなかった方でも第一歩を踏み出しやすい制度と言えます。
次に、毎月の積立を続けた場合に、将来どの程度の資産が形成できるのかをシミュレーションしていきます。
老後の資産形成ということであれば、定期的に利払いのある債券も定年までには魅力的な金融商品となるわけですが、残念ながらその債券は対象外です。
もちろん、新NISAはメリットが目立つわけですが、さらに改善してくれると使いやすくなるとは思います。
2. 【利回り別シミュレーション】40歳から65歳「毎月5万円」で積立投資を行った場合
ここでは、以下の前提条件をもとに、NISAを利用して積立投資を行った場合、どの程度の資産形成が期待できるのかを確認します。
- 40歳から65歳までの25年間で老後資金をつくる
- 積立額は毎月5万円
- 投資信託は「安定的な運用」を重視した1~5%の商品
2.1 【試算結果を見る】「毎月5万円」×25年×「年1〜5%」で積立投資
【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成
想定利回り:資産評価額(元本部分は1500万円)
- 年1%:1702万円
- 年2%:1939万円
- 年3%:2217万円
- 年4%:2544万円
- 年5%:2929万円
25年間にわたって毎月5万円を積み立てた場合、最終的には1700万円を超える資産形成が見込まれます。
元本は合計1500万円ですが、運用状況によっては約202万円〜最大1429万円ほどの利益が加わる可能性があります。
ただし、投資にはリスクが伴い、期待リターンが高くなるほどリスクも大きくなるため、その点を理解したうえで活用することが重要です。
3. 【積立額別シミュレーション】25年間で「2000万円」を目指す場合
老後に必要な資金は家庭ごとに異なりますが、ここでは2000万円を目標としたケースを想定します。
40歳から65歳までの25年間でこの金額を準備するには、毎月どの程度の積立が必要になるのかを試算します。
3.1 【試算結果を見る】「25年間」×5%で積立投資
【新NISA】積立金額別「想定利回り5%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成
毎月の積立金額:資産評価額
- 3万円:1757万円
- 4万円:2343万円
- 5万円:2929万円
- 6万円:3514万円
- 7万円:4100万円
※想定利回り:年5%
試算の結果、年利5%で25年間運用した場合、毎月4万円を積み立てることで2000万円を超える資産形成が可能となります。
ただし、月4万円の積立であっても家計への負担が少なからずあり、また利回りも確実ではないため、想定通りに資産が増えない可能性がある点には注意が必要です。
そのため、老後資金の準備はできるだけ早い段階から始めることが重要です。
たとえば、毎月の積立を3万円に抑えた場合でも、40歳から65歳までの25年間、同じく年利5%で積立を行えば、1757万円まで資産を準備することが可能です。
このように、積立期間を長く確保することで、毎月の負担を軽減しながら効率的に資産形成を進めることができます。
4. 【ステップアップ投資法】収入アップに合わせて積立額を増やしていく考え方
最初は少ない金額からスタートし、将来的には少しずつ投資へ回すお金を増やしていきたいという方もいるはずです。
そうしたケースでは、給与の増加や家計のゆとりに合わせて、段階的に毎月の積立額を増やしていくアプローチがおすすめです。
たとえば、毎月5万円を25年間積み立てた場合、元本は合計1500万円となります。
さらに、年利3%で運用した場合、最終的な資産は約2217万円となり、元本の約1.5倍に成長する試算です。
この方法は、無理なく始めて継続しやすい点が強みであり、初期の負担を抑えながら、収入が増えたタイミングで投資額を引き上げることで、生活への影響を最小限にしつつ効率よく資産形成を進められます。
長期投資では「続けること」が何より重要です。
まずは少額から始め、余裕が出てきたら積立額を見直すことで、現実的かつ着実に資産を増やしていきましょう。
5. 【監修者より】新NISAのカギは「非課税メリット」と「長期運用」ただ落とし穴も
監修者より、あらためて新NISAの有効活用のポイントをおさらいします。
ただ、はたらく世代は、個別株式の大きな値動きからは目を背けて、毎月コツコツとつみたて投資をすることで、時間を味方につければ資産形成することができます。
はたらく世代の資産形成のコツは、逆説的ですが、株式市場を気にしないで、自分の生活にこだわるということかもしれません。
また、先ほども触れたように、債券などは非課税枠の対象外なので、そういった場合には特定口座などを利用してみてください。
この記事では、新NISAの基本構造や利点をおさらいし、運用パターン別の具体的なシミュレーション結果を解説しています。
シミュレーションを見ていただく中で、資産が増えていく様子を感じていただいたかと思いますが、新NISAはの最大のメリットは運用益が非課税となる非常に強力な資産形成のサポート制度です。特定口座では課税されるのに対して、新NISA口座ではそうではありません。
しかし、そのメリットを十分に享受するには、制度への理解を深めたうえで、ご自身のライフスタイルに合った積立金額や期間をしっかりとプランニングする必要があります。
今回のシミュレーションでも確認できた通り、想定される利回りや毎月の投資額によって、将来築ける資産の規模は大きく変動します。
短期的な目標達成を目指すと日々の家計へのプレッシャーが高まりますが、長期的な視点を持てば、過度な負担をかけることなく着実に資産を増やしていく道が開けます。
投資のリスクを正しく認識したうえで、ご自身にとって無理のないペースでコツコツと継続することが、将来の安心な資産形成へとつながるでしょう。
【免責事項】
- 本記事は、公開されている公的資料および一般的な情報に基づき作成されたものであり、特定の制度・金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
- 掲載している数値・制度内容・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算または一般的な事例であり、実際の金額・支給要件・税制・運用成果等を保証するものではありません。制度内容は法改正・自治体運用・経済状況等により変更される可能性があります。
- 投資に関する記述は、将来の運用成果を示唆または保証するものではなく、元本割れを含むリスクが存在します。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
参考資料
奥田 朝




