和田 直子

私が銀行員として窓口にいた頃は、「超低金利時代」でした。

少しでも金利が良いものを…と個人向け国債をご案内したことがありますが、当時は国債の金利も最低保証の「年0.05%」に張り付いており、決して魅力的な金利とは言えませんでした。

しかし、ついに「金利のある世界」が戻ってきました。

長い長い金利の付かない時代は終わりです。

銀行の預金金利もじわじわと上昇していますが、個人向け国債の金利はよりインパクトが大きいかもしれません。

2026年7月現在の個人向け国債の金利は、固定5年で年1.95%(税引前)まで上昇しています。

「元本割れは絶対に避けたいけれど、少しでも有利にお金を増やしたい」という方に注目されているのが、この個人向け国債です。

いざ購入しようとすると「どこで買うのがいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、最新の金利情報と制度の動向を整理した上で、銀行か証券か、ネット系か…選び方をお伝えします。

1. 3つのポイントの見出し

  •  固定5年1.95%・変動10年1.80%(いずれも税引前)と、個人向け国債の金利が大手銀行定期預金を大きく上回る水準に
  •  2026年12月から「個人向け国債プラス」へ名称変更予定。国債NISAの法案提出など、制度面でも注目の動きが続いている
  •  どこで買っても国債の金利・安全性は同じ。「お得さ重視」ならネット証券、「安心感重視」なら窓口が現実的な選択肢

2. 2026年7月募集分「個人向け国債」の金利は何パーセント?

まず、現在募集されている個人向け国債の条件を確認しておきましょう。

2026年7月募集「個人向け国債」金利1/2

2026年7月募集「個人向け国債」金利

出所:財務省「個人向け国債の金利情報」

  • 固定3年(第194回):金利 年1.56%(税引前)/ 1.2430860%(税引後)
  • 固定5年(第184回):金利 年1.95%(税引前)/ 1.5538575%(税引後)
  • 変動10年(第196回):金利 年1.80%(税引前)/ 1.4343300%(税引後)※半年ごとに見直し

募集期間はいずれも2026年7月6日(月)〜7月31日(金)です。

大手銀行の定期預金金利も少しずつ上がってきましたが、元本割れのリスクがほぼゼロ(日本国政府が元本と利子を保証)という安全資産で、これだけの金利がつくようになったことは大きな変化です。

なかでも「変動10年」は、今後の市場金利の上昇に合わせて半年ごとに金利が見直されるため、インフレ対策としても注目されています。

和田 直子

国債の金利がこれだけ上がると「今は国債一択!」と思う方もいるでしょう。

しかし、銀行が不定期で実施する「定期預金の金利優遇キャンペーン」も魅力的な金利を出しています。

タイミングによっては個人向け国債より定期預金の方が高金利になるケースも出てきています。

また、もし国債の「固定金利(3年・5年)」を選ぶ場合は少し注意が必要です。今後さらに世の中の金利が上がったとしても、固定金利は満期まで利率が変わりません(変動10年なら半年ごとに見直されます)。

定期預金、キャンペーン金利、個人向け国債の金利をじっくり比較検討してみてください。

3. 個人向け国債を巡る2つの最新動向

金利の上昇と並んで、制度や仕組み自体にも変化の動きがあります。

投資を検討する上で押さえておきたい、2つのトピックを紹介します。

3.1 2026年12月から「個人向け国債プラス」へ名称変更

財務省の発表によると、令和8年(2026年)12月募集分(令和9年1月発行分)から、販売対象が「個人のみ」から「個人に加え、一部の法人等」へと拡大されます。これに伴い、商品名も「個人向け国債プラス」へと変更される予定です。

「名前が変わると中身も変わるの?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、財務省のQ&Aでも明記されているとおり、商品性は現在と一切変わりません。

これまでどおり個人も購入でき、「個人に"プラス"して法人等も買えるようになる」という意味合いの名称変更です。

3.2 国民民主党が「国債NISA法案」を提出

2026年7月、国民民主党が議員立法「国債NISA法案」を国会に提出しました。

現在はNISAの対象が投資信託や株式に限られていますが、この法案では個人向け国債も対象に加えることを目指しています。

実現すれば、年1.5〜1.9%超の金利が完全非課税で受け取れるようになり、安全資産の運用先としてさらに注目度が高まることが予想されます。まだ法案段階ではありますが、動向を注視しておきたいところです。

4. 個人向け国債はどこで買う?「何を優先するか」で決まる最適解

どこで購入しても、個人向け国債の金利・安全性・財務省が定める基本条件はまったく同じです。

だからこそ、どこで買うかは「あなたが何を優先するか」によって決まります。

4.1 「お得さ」と「手軽さ」を優先するなら、ネット証券

SBI証券・楽天証券などのネット証券では、購入金額に応じた現金キャッシュバックや独自ポイント付与のキャンペーンを頻繁に実施しています。

個人向け国債の利子に加えてプラスアルファのリターンが得られるため、実質的な利回りを高められます。

また、証券口座内で他の資産と一元管理できるため、半年ごとの利金をそのまま次の投資に回すといった連携もスムーズです。

  • 1円でも多くお得に購入したい方
  • すでにネット証券の口座を持っている方
  • スマホ・パソコンでの操作に抵抗がない方

4.2 「安心感」と「相談のしやすさ」を優先するなら、銀行・大手証券の窓口

「3年固定・5年固定・10年変動のどれが自分に合っているのか」

「満期前に解約したくなったらどうすればいいのか」

といった疑問を、担当者に直接相談しながら購入できるのが窓口の強みです。

書類の書き方から口座開設の手順まで対面でサポートしてもらえるため、「大金を動かすのにネットの画面だけでは不安」という方には安心感があります。

  • ネットでの操作に不慣れで、誤操作が心配な方
  • 固定か変動かの選択にアドバイスが欲しい方
  • すでに馴染みの銀行があり、資産を一箇所にまとめておきたい方

4.3 ネット証券と窓口、主な違いの比較

2つの選択肢を項目別に整理すると、次のとおりです。

  • お得さ(特典):ネット証券はキャッシュバックやポイントあり。窓口は原則なし、または条件が厳しい
  • 相談のしやすさ:ネット証券は基本的に自己判断。窓口は対面で詳しく相談できる
  • 手続きの手間:ネット証券は自宅のスマホ・PCで完結。窓口は来店と待ち時間が発生する
  • 購入できる国債:どちらも同一(金利・安全性とも共通)

5. まとめ

個人向け国債は、日本国政府が元本と利子を保証する、安全性の高い金融商品です。

2026年7月現在、固定5年で年1.95%(税引前)と、かつての超低金利時代からは見違えるほど魅力的な水準になっています。

12月からは「個人向け国債プラス」への名称変更、さらには国債NISAの法案提出と、制度面でも目が離せない動きが続いています。

どの金融機関で購入しても、国債としての価値や安全性、基本金利は変わりません。だからこそ、選ぶポイントはシンプルです。

少しでも実質的なリターンを高めたい、手続きを手軽に済ませたいという方はネット証券を、対面でじっくり相談しながら安心して進めたいという方は銀行や大手証券の窓口を選ぶのが、現実的な答えになるのではないでしょうか。

まずはご自身の優先順位を確認した上で、動き出してみてください。

【免責事項】

  • 本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。

参考資料

和田 直子