2026年7月3日、金融庁は「NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和7年12月末時点)」を公表しました。NISA口座数は約2,826万口座(前年末比10%増)、累計買付額は約71兆円(同36%増)に達しており、資産形成の手段としてNISAを活用する動きが着実に広がっていることがうかがえます。

旅行やイベントなど、夏休みの計画が進む一方で、「今シーズンは何かと出費がかさみそうだ」と家計のやりくりが気になる時期でもあります。

中本 智恵
「預金だけでは心もとないけれど、投資は何となく怖い」という声は窓口でも伺う機会が多かったです。今回は毎月3万円という身近な金額を例に、預金と新NISAで実際にどれくらいの差が生まれるのかを具体的な数字で確認していきましょう。

毎月少しずつ銀行への預金を続けているものの、相次ぐ物価高を前に「このまま預けるだけで将来十分な備えになるのだろうか」と不安を抱く方も少なくないでしょう。

目前の出費に備えることは大切ですが、中長期の資産形成においては、ただ預けるだけではお金の実質的な価値が目減りしてしまうリスクも存在します。実際、毎月3万円の積み立てであっても、預金と「新NISA」による投資とでは、10年後に大きな差が生まれる可能性があるのです。

そこで今回は、「預金」と「新NISAを使った積立投資」の10年後をシミュレーションで比較・検証します。効率的な資産形成の方法について考えてみませんか。

なお、新NISAと預金の比較に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【月3万円×20年】預金と新NISAの資産差はいくら?『利回り5%の積立投資 VS 金利0.3%の銀行預金』シミュレーションで徹底比較 インフレリスクを踏まえ、『複利効果』のインパクトを解き明かす
【月3万円×20年】預金と新NISAの資産差はいくら?『利回り5%の積立投資 VS 金利0.3%の銀行預金』シミュレーションで徹底比較 インフレリスクを踏まえ、『複利効果』のインパクトを解き明かす

1. この記事の3つのポイント

  •  銀行預金のみで月3万円を10年貯めると利息は約5万円
  •  新NISAは投資の利益に税金がかからない非課税制度
  •  年5%運用の積立投資は10年で約463万円になる試算

2. 「月3万円」を10年続けた場合の貯金額はいくら?

結論からお伝えすると、毎月3万円を銀行預金として積み立てた場合、10年間での元本は合計「360万円」となります。

近年は日本銀行の利上げの影響もあり、メガバンクの普通預金金利は年0.3%前後まで上昇していますが、資産を大きく増やすには十分とはいえない水準です。

この条件で10年間預け続けた場合、得られる利息は約5万円(税引前)にとどまり、最終的な資産額はおよそ365万円となります。

月3万円を10年続けた場合預金額1/7

月3万円を10年続けた場合預金額

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

ただし、利息には約20%の税金がかかるため、実際に手元に残る金額はこれより少なくなります。

加えて注意したいのがインフレの影響です。

年2%の物価上昇が続いた場合、10年後には同じ商品を購入するのに現在の約1.2倍の金額が必要になります。

そのため、預金額自体は増えていても、お金の実質的な価値は下がる可能性があります。

このように、預金は元本が減りにくいという安心感がある一方で、利息は限定的であり、インフレの影響によって実質的な資産価値が目減りする可能性もあります。

では、同じ「月3万円」を積み立てる場合、より効率的に資産形成を目指す方法はないのでしょうか。

そこで注目されているのが、税制優遇を受けながら投資ができる「新NISA」という制度です。

中本 智恵
預金の金利が上がってきたとはいえ、年0.3%程度では物価上昇のスピードに追いつきにくいのが実情です。「減らしたくないから預金一択」という考え方も、インフレが続く局面ではリスクになり得ることは知っておきたいポイントですね。

3. 新たな積立投資の選択肢「新NISA」とは?

NISA(少額投資非課税制度)とは、投資で得た利益に対する税金が非課税になる仕組みのことです。

通常、株式投資や投資信託などで利益(運用益や配当金など)が出た場合、原則として約20%(20.315%)の税金が差し引かれますが、NISA口座内で投資を行えばこれらが非課税となり、税金による負担を大きく軽減できます。

新NISAについて2/7

新NISAについて

出所:金融庁「NISAを知る」

例として、毎月3万円を銀行預金として積み立てた場合を考えてみましょう。10年間で元本は360万円となり、年利0.3%が適用されると最終的な資産額は約365万円になります。

この増えた約5万円の利息分からも約20%が税金として引かれるため、実際に手元に残る金額はさらに少なくなってしまいます。

一方で、もし同じ金額の利益を投資で得たとしても、NISAを利用していれば税金はかからないため、利益をそのまま全額受け取ることが可能です。

なお、NISA自体は以前からある制度ですが、2024年1月に内容が大幅に拡充され、「新NISA」として新しくスタートしました。

3.1 開始から約2年が経過!「新NISA」とは?

新NISAは、これまでの旧制度と比較して年間の投資枠や非課税期間が改善され、より使い勝手の良い制度へと進化しています。

新NISAについて3/7

新NISAについて

出所:金融庁「NISAを知る」

旧NISAの「つみたてNISA」では、1年間に非課税で投資できる枠は最大40万円でしたが、新NISAの「つみたて投資枠」では年間120万円まで拡大しており、より多くの資金を非課税で運用できるようになりました。

さらに、以前の制度では非課税期間に「最長20年」といった制限がありましたが、新NISAではこの期間が無期限となったことで、時間をかけた長期的な資産づくりにじっくりと取り組みやすくなっています。

では、この新NISAを活用して毎月3万円を積み立てた場合、10年後の資産にはどの程度の差が生まれるのでしょうか。

中本 智恵
非課税期間が無期限になったことで、「まとまった年齢までに使い切らなければ」と焦る必要がなくなった点は、新NISAの見落とされがちなメリットです。ライフイベントに合わせて柔軟に取り崩せる安心感もプラスされたといえるでしょう。

4. 毎月の積立額を「5万円」に増やしたら、10年後の資産はどう変わる?

ここまでは毎月3万円を前提に見てきましたが、積立額を増やせば資産形成のスピードも変わります。

参考として、毎月の積立額を5万円に増やした場合の10年後の資産額を試算してみましょう。

まず、銀行預金(年0.3%)で毎月5万円を10年間積み立てた場合、元本は600万円、利息は税引前で約8万円となり、資産合計はおよそ608万円です。

一方、新NISAを活用し年5%で運用できた場合、10年後の資産額は約772万円(元本600万円、運用収益約172万円)となる試算です。

同じ10年という期間でも、積立額を月3万円から5万円に増やすだけで、新NISA運用時の資産額は約309万円(463万円→772万円)増加する計算になります。積立額を無理のない範囲で引き上げることも、資産形成のスピードを上げる有効な選択肢のひとつです。

なお、これらの試算は一定の利回りが継続した場合の目安であり、実際の運用成果を保証するものではありません。

中本 智恵
積立額を増やすほど資産額の差は大きくなりますが、無理に増額して家計を圧迫しては本末転倒です。まずは今の家計で継続できる金額から始め、余裕が生まれたタイミングで見直すという考え方で進めましょう。

5. 【利回り別】新NISAで積立投資した場合、10年後の資産額はいくらになる?

本章では、毎月3万円を10年間積み立てた場合について、利回りごとのシミュレーションをもとに資産の変化を確認していきます。

5.1 利回り3%で運用した場合の資産額

毎月3万円を積み立て、期間を10年間、想定利回りを年3%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。

利回り3%で運用した場合4/7

利回り3%で運用した場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

  • 投資元本:360万円
  • 運用収益:58万円
  • 資産合計(元本+収益):418万円

5.2 利回り5%で運用した場合の資産額

毎月3万円を積み立て、期間を10年間、想定利回りを年5%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。

利回り5%で運用した場合5/7

利回り5%で運用した場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

  • 投資元本:360万円
  • 運用収益:103万円
  • 資産合計(元本+収益):463万円

5.3 利回り10%で運用した場合の資産額

毎月3万円を積み立て、期間を10年間、想定利回りを年10%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。

利回り10%で運用した場合6/7

利回り10%で運用した場合

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

  • 投資元本:360万円
  • 運用収益:240万円
  • 資産合計(元本+収益):600万円

年利3%を想定したシミュレーションでは、10年間の積立による運用益はおよそ58万円となり、預金のみの場合と比べると、資産を増やす効果が期待できるといえるでしょう。

さらに、年利5〜10%で運用できた場合には、約103万円〜240万円の運用益が見込まれます。

中本 智恵
利回りは高いほど資産の伸びも大きくなりますが、年10%という水準を長期間安定して得られる保証はありません。複数の利回りパターンで試算しておくと、相場の下落に一喜一憂することなく運用を続けやすいです。