年金だけでは足りない分はどう補填する?FPが答える「老後資金見直し」4つのステップ

公的年金の受給額の目安や2026年度の年金生活者支援給付金のシミュレーションを確認しました。

制度や給付金を考慮しても、なお「年金だけでは生活費が不足するかもしれない」という問題に行き着く方は少なくありません。

それでは、公的年金でカバーしきれない資金は、どのように補填していくのが望ましいのでしょうか。ここでは、実際のFP相談に来られたある会社員の方のリアルな悩みと、見直しのプロセスをご紹介します。

相談者の悩み:「コツコツ貯めてきたが、効率の悪さと物価高が不安」

相談に訪れた会社員のAさんは、長年、会社の財形貯蓄や積立型の保険を使って真面目に資産づくりを続けてきました。しかし、以下の理由から一歩を踏み出せずに悩んでいました。

  • 運用効率への不満: 低金利が続く中、従来の貯蓄方法では資産が増えず、「年金だけで不足する生活費をどこから補填すべきか」という疑問を抱えていた。
  • 投資への抵抗感と物価高のリスク: 過去に投資で元本割れを経験したトラウマから慎重姿勢を崩せずにいたが、近年の物価上昇により「円のまま置いておくリスク」も強く実感していた。
  • 具体的な行動が分からない: 手元のまとまった資金や毎月の積立額をどう見直せば老後の安心につながるのか、具体的な手順が見えずに迷っていた。

FPのアドバイス:老後不安を解消するための「4つの視点」

Aさんとの対話を通じて導き出した、手持ち資金と毎月のやりくりを最適化するための考え方とポイントは以下の4点です。

1. 保険料と投資の資金配分を見直す

将来への不安から手厚い保険に入りがちですが、「保険は万が一のための最低限の備え」と割り切り、浮いた保険料を資産形成に回す考え方にシフトしました。保障と資産形成を分離することで、限られた資金を効率的に活用できるようになります。

2. 「貯蓄だけ」の機会損失と円安・インフレリスクを意識する

長年続けてきた財形貯蓄などの低金利な口座にお金を置き続けることは、インフレ下では実質的な機会損失になります。金利や為替のリスク・仕組みを理解したうえで、物価上昇に対抗できる運用手段を検討することが重要です。

3. 「現役時」と「老後」で運用スタイルを使い分ける

お金の置き場所はライフステージに応じて変えていくのが鉄則です。

  • 現役世代: 時間を味方につけて「複利」で資産を増やす
  • 老後世代: 増やした資産を「単利」のように定期的に取り崩して年金の上乗せとして使う

「増やして使う」というメリハリを持つことが、老後の生活資金を補填する具体的なイメージにつながります。

4. 制度や商品を組み合わせ、資産の全体像をつくる

一つの制度や金融商品だけに頼って老後資金をすべて作ろうとする必要はありません。NISAなどの投資非課税制度による積立投資と、既存の貯蓄・保険を総合的に組み合わせ、年金不足分を多角的にカバーする設計を立てることが大切です。

橋本 優理

老後資金が足りないと闇雲に不安がる前に、まずは現在の「保険料」や「貯蓄のバランス」をチェックし、現役時代と老後それぞれの運用・活用方法を一つずつ整理してみてください。

公的年金の受給見込み額をベースに、不足する分を効率よく補う仕組みをつくることが、将来の不安を確かな安心に変える第一歩となります。

参考資料

橋本 優理