6. 知っておきたいセーフティーネット「高額療養費制度」

所得によって医療費の窓口負担が2割や3割に上がる仕組みを解説しました。「入院や手術で支払いきれないのでは……」と不安に感じる方も多いでしょう。

しかし、公的医療保険にはセーフティネットとして「高額療養費制度」があります。

高額療養費制度の上限額(2026年8月~2027念7月まで)4/4

高額療養費制度の上限額(2026年8月~2027念7月まで)

出所:厚生労働省「令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」

これはひと月(1日~末日)の医療費が所得に応じた「自己負担限度額」を超えた場合、超過分が免除・払い戻される仕組みです。

2026年年8月から制度の見直しにともない上限額が変更されました。ご自身の適用区分をマイナポータル等で事前に確認しておきましょう。

6.1 「マイナ保険証」の活用で事前の手続きが不要に

この制度でぜひ活用したいのが「マイナ保険証」です。

かつては事前に役所で「限度額適用認定証」を申請するか、一度立て替えて後日申請する必要がありました。

しかし現在、窓口でマイナ保険証を利用(限度額情報の提供に同意)すれば事前の申請は一切不要となり、自動的に月々の支払いが自己負担限度額でストップします。

ただし、今回の見直しに伴い設定されている「年間上限額」を超えた分は、一旦窓口で負担して後日払い戻し(償還払い)となる点には注意が必要です。

それでも、月々の立て替え負担や手続きの手間がなくなることは、老後の家計にとって非常に大きなメリットといえます。

7. 医療と介護のダブルパンチを防ぐ「合算制度」

さらに高齢期の家計で忘れてはならないのが、医療費と並行して発生しやすくなる「介護費用」です。

75歳を超えると、配偶者の介護が始まったり、ご夫婦ともに通院と介護サービスを併用したりするケースが増加します。

医療保険と介護保険は別の制度であるため、それぞれに自己負担が発生し、家計へのダブルパンチになりかねません。

そんな時に家計を救うのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。

これは、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)にかかった「医療保険」と「介護保険」の自己負担額を合算し、基準額を超えた場合にその超過分が払い戻される制度です。

医療費単独、あるいは介護費用単独では高額療養費の対象にならなくても、両方を足し合わせることで負担を軽減できる仕組みになっています。

この制度を利用するには、原則として市町村などの窓口への申請が必要です。

制度の存在を知らないと申請漏れになってしまうため、「医療と介護でお金がかさんできたら、合算して取り戻せる制度がある」ということをぜひ頭の片隅に置いておいてください。

8. まとめ:夏休みの帰省を「家族でお金を話す」きっかけに

今日から8月。お盆の帰省などで、離れて暮らす親御さんやご家族と顔を合わせる機会が増える時期ではないでしょうか。

物価の高騰や「子ども・子育て支援金」のような新たな負担など、私たちを取り巻くお金の環境は目まぐるしく変化しています。それに伴い、公的制度も毎年のように見直されています。

老後の医療費や介護への備えは、「いざ病気になってから」「倒れてから」慌てて調べるのでは遅く、選択肢も狭まってしまいます。

ご自身の、あるいはご両親の医療費負担が現在何割になっているのか、万が一の入院時にはどの口座から費用を捻出するのか。

元気で顔を合わせて話ができるうちに家族で情報を共有しておくことこそが、最大の家計防衛策になります。

日々の通院費から高額な入院費用まで、制度の仕組みとセーフティネットを正しく理解し、自分らしい生き方を支えるマネープランを、ぜひこの夏休みの機会に見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料