5. まとめ

60歳代の金融資産保有額を見ると、二人以上世帯では平均値が2683万円、中央値が1400万円です。一方、単身世帯は平均値が1364万円、中央値は300万円となっており、世帯構成によって大きな差があります。

2000万円以上の金融資産を持つ割合は、二人以上世帯で39.6%、単身世帯で21.1%です。ただし、平均値と中央値の差も大きいため、平均貯蓄額だけで老後資金の実態を判断するのは難しいでしょう。

筆者が老後資金の相談を受けた経験からも、重要なのは資産額の多さだけではなく、毎月の収支や資産の使い道を具体的に把握することだと感じます。

まずは現在の資産状況と将来の年金見込み額を確認し、先取り貯蓄や固定費の見直し、お金の置き場所の整理など、無理なく続けられる備えから始めてみましょう。

6. 監修者コメント:「残高の錯覚」から脱却し、口座分割と手取り基準の支出管理を徹底しましょう

齊藤 慧
各種世論調査が示す60代の貯蓄額は、単なる結果の集積に過ぎず、これからを生きるご家庭の安全を保証するものではありません。

私が社会保障の取材や実務を通じて見てきましたが、自分の資産を『額面ではなく純手取りで評価する徹底した現実主義』が重要です。

公的年金は支給総額から地域の介護・医療保険料や税金が容赦なく引き去られるため、口座に振り込まれる現実は想像以上にシビアです。

さらに、まとまった退職金や預貯金があるからといって一つの口座で管理していると、日々の赤字補填の痛みを感じなくなり、気づいた時には資産の半分が消えていたという事態に陥りかねません。だからこそ、今すぐ資金を『使う時期』ごとにわけて、純手取りの範囲内に固定費をすり合わせる作業を行ってください。

早めに家計の基礎代謝を落とす行動を起こすことこそが、セカンドライフを豊かに、そして穏やかに保つ唯一の道です。

参考資料

加藤 聖人