3. 【60歳代・単身世帯】平均貯蓄額は1364万円、中央値は300万円
続いて、60歳代・単身世帯の金融資産保有額も見てみましょう。
※この調査における金融資産とは、預貯金に加えて株式や投資信託、生命保険などを指します。ただし、日常的に利用する普通預金口座の残高は対象外です。
3.1 60歳代・単身世帯の金融資産保有額
- 金融資産非保有:30.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:2.4%
- 300~400万円未満:4.5%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.0%
- 700~1000万円未満:4.8%
- 1000~1500万円未満:8.1%
- 1500~2000万円未満:4.1%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:15.6%
- 無回答:2.2%
- 平均:1364万円
- 中央値:300万円
平均額だけを見ると、一定の老後資金を備えている人が多いように感じられるかもしれません。しかし、中央値は300万円にとどまっており、平均額ほどの金融資産を持つ人が多数派とはいえない状況です。
分布を見ると、「金融資産非保有」が30.4%と最も高くなっています。「100万円未満」の9.1%も合わせると、約4割が金融資産100万円未満です(普通預金口座の残高を含まず)。
一方で、「2000万円以上3000万円未満」は5.5%、「3000万円以上」は15.6%です。両者を合わせると、21.1%が2000万円以上の金融資産を保有しています。
60歳代の単身世帯では、まとまった資産を持つ人がいる一方で、老後資金に不安を抱えやすい人も一定数みられます。
4. 【FPが解説】老後資金づくりで意識したい3つの備え
退職金の運用や老後資金について相談を受けるなかで感じるのは、資産額が多ければ必ずしも不安がなくなるわけではないということです。
まとまった資金を持っていても、毎月の収支や資産の使い道が整理できていなければ、将来への不安は残りやすくなります。
一方、資産額が平均を下回っていても、計画的に貯蓄し、支出を管理している人は老後の見通しを立てやすい傾向があります。
老後資金づくりでは、目標額を決めるだけでなく、日々の家計管理や資産の置き場所まで具体的に考えることが大切です。
ここでは、今から意識したい3つの備えについて解説します。
4.1 先取り貯蓄で「残ったら貯める」から抜け出す
老後資金を準備するうえで、まず見直したいのが貯蓄の順番です。
生活費を支払ったあとに残った分を貯めようとすると、予定外の出費があった月には貯蓄できないこともあります。貯蓄額が安定せず、計画どおりに資産を増やしにくくなるでしょう。
そこで取り入れたいのが、収入を受け取った時点で貯蓄分を分ける「先取り貯蓄」です。
例えば、給与が振り込まれたら一定額を別口座へ自動的に移す、積立定期を設定するといった方法があります。
運用期間を十分に確保でき、価格変動リスクを許容できる資金については、NISAを活用した積立投資も選択肢になるでしょう。
最初から使うお金と将来に残すお金を分けておけば、毎月の支出に左右されにくくなります。
無理な節約を続けるよりも、家計のなかに自然と貯蓄できる仕組みをつくることが重要です。
4.2 使う時期に応じて、お金の置き場所を分ける
退職金などのまとまった資金を「すべて預貯金で持つべきか、運用に回すべきか」と悩む人は少なくありません。
しかし、老後資金はすべてを同じ方法で管理する必要はありません。使う時期に応じて、お金の置き場所を分けることが大切です。
生活費の補てんや医療費、家電の買い替えなど、近いうちに使う可能性がある資金は、すぐに引き出せる預貯金で確保しておくとよいでしょう。
一方、10年後や20年後に使う予定の資金であれば、株式や投資信託などを活用して運用する方法もあります。
ただし、投資には元本割れのリスクがあります。生活費や緊急時の資金まで運用に回すと、相場が下落したときに損失を抱えたまま取り崩さなければならないかもしれません。
まずは日々の生活を守る資金を預貯金で確保し、そのうえで余裕資金の運用を検討しましょう。
4.3 年金生活を見据えて、支出水準を整える
老後に必要な資金は、保有資産の額だけでなく、毎月の支出によっても大きく変わります。
現役時代と同じ支出水準のまま年金生活に入ると、収入が減った分だけ貯蓄の取り崩しが増え、想定より早く資産が減る可能性があります。
特に確認しておきたいのが、住居費や保険料、通信費、サブスクリプション、自動車関連費などの固定費です。一度見直せば効果が続きやすいため、退職前から少しずつ整理しておくとよいでしょう。
また、退職後は生活リズムも変わります。在宅時間が増えて光熱費が上がる場合もあれば、趣味や交際費が増えるケースも考えられます。
老後を迎えてから急に支出を削ると、生活の満足度を大きく下げかねません。年金見込み額を確認したうえで、現役のうちから支出水準を段階的に調整し、無理なく続けられる家計へ近づけておくことが大切です。
