4. 「平均値」より120万円も低い?国民生活基礎調査が示す「日本の家族の所得」
「貯蓄を増やすためには、まず収入を上げなければ」と考える方は多いですが、日本全体の世帯所得の現状はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、全世帯の1世帯当たり平均所得金額は575万2000円となっています。
しかし、所得を低い順に並べたときにちょうど真ん中にくる「中央値」を見ると、451万円という結果でした。
実に、平均所得金額を下回る世帯の割合は61.5%にものぼります。
つまり、少数の高所得世帯が全体の平均値を大きく押し上げているだけで、多くの現役世代にとっての実感に近い所得は、平均値よりも約120万円も低い中央値の方だと言えます。
周りの「平均データ」を見て、過剰な焦りを感じる必要はないでしょう。
ご自身の所得を中央値と照らし合わせながら、身の丈に合った無理のない資産形成を始めることが大切です。
5. 「月3万円の赤字」が現実?おひとりさまシニアのリアルな家計収支
最後に、おひとりさまが老後を迎えた際のリアルな生活費の実態にも目を向けてみましょう。
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編(2025年平均結果)」によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の家計収支は以下のようになっています。
- 実収入:13万1456円(うち年金などの社会保障給付:12万212円)
- 非消費支出(税金・社会保険料など):1万2990円
- 消費支出(生活費):14万8445円
生活費である消費支出に税金などの非消費支出を加えると、実収入から毎月およそ「2万9980円(約3万円)の赤字」が発生している計算になります。
さらに、この調査データは持ち家率が高い前提の平均値であり、賃貸住まいの方であれば家賃が上乗せされ、赤字幅はさらに膨らむ可能性があります。
自分ひとりで老後を支える単身世帯にとって、こうした「毎月の赤字」を補填するためには、現役時代に築いた貯蓄が頼みの綱となります。
6. まとめ:全体像を踏まえ、自身の「現在地」を把握しよう
今回は、最新の統計データをもとに、年代別のおひとりさまの「貯蓄事情」をひも解いてきました。
各年代の貯蓄額を見ると、平均値と中央値の間に大きな開きがあり、資産の二極化が進んでいる実態が浮かび上がります。
「周りの平均に届いていない」と焦るのではなく、より実態に近い「中央値」を参考にしながら、ご自身の現在地を客観的に確認することが大切です。
本当の意味での家計の安定や将来の安心感は、周りの数値と比べて「勝つこと」ではなく、ご自身のライフスタイルやペースに合った身の丈の資産形成を行うことで生まれてくるものです。
夏以降のさらなる物価上昇など先行きに不安を感じやすいタイミングですが、まずは現在の預貯金や手元の資産を正確に把握し、「今のありのままの家計」を見える化することから始めてみてはいかがでしょうか。
ご自身の「現在地」がはっきりと分かれば、漠然とした不安も和らぎ、無理のない資産形成の形が少しずつ見えてくるはずです。

