6. ファイナンシャルアドバイザーが家計診断|積立と保険で家計を圧迫していたお客さまへ

老後資金への漠然とした不安から、手当たり次第に投資や保険を始めてしまい、日々の生活資金が圧迫されているという声はよく聞かれます。

最近子どもが生まれたばかりという、ある30代の会社員の方も、同じような悩みを抱えていました。将来に向けてNISAやiDeCoを活用し、さらに複数の保険にも加入していましたが、毎月の保険料や積立額の負担が重く、手元資金がほとんど残らない状況に陥っていました。

30代のお客様
将来のために資産形成をしなければと思って、NISAやiDeCoに加えて保険にも手を出したんです。

でも気づいたら毎月の保険料や積立額の負担が重くて、正直手元にお金がほとんど残らなくて……。

このままで大丈夫なのか、不安になってしまいました。

老後にいくら必要なのかという具体的な目標が見えないまま、ただ漠然と積立を増やし続けていたため、今の生活にゆとりがなくなっていたのです。

ご自身でも、このままのペースで積立を続けていくことへの迷いや、万が一の出費に対応できなくなることへの抵抗を感じるようになっていました。

このように、将来への備えを重視するあまり、現在の家計バランスを崩してしまうという方は少なくありません。

7. 「ねんきん定期便」を起点に、資金を目的別に整理する

こうした悩みに対して、この方が相談を重ねる中でたどり着いた考え方や注意点を紹介します。

7.1 まずは「ねんきん定期便」で目標額を具体的に

まず見直したいのは、将来の年金見込額をベースにした目標額の設定です。

この方は将来資金のシミュレーションを行ったことで、「老後資金の目標達成に必要な積立額が意外と少ないと分かった」と気づいたように、漠然とした不安は具体的な数字を把握することで和らぎます。

その第一歩として活用したいのが「ねんきん定期便」です。働き盛りの時期から公的年金の見込額を確認し、将来のベースとなる収入を把握することで、自助努力で補うべき目標額が明確になり、過剰な積立を防ぐことにつながります。

7.2 資金は目的別に管理する

そのうえで、資金の目的別管理を行うことが重要です。

「運用効率を求めるならNISAやiDeCoを増やし、保険は保障と運用を分けて考える」という理解は、資産形成の基本となります。

老後資金、教育資金、万が一の保障など、目的ごとに適した制度や商品を整理することで、家計の無駄を省くことができます。すべてを一つの手段で賄おうとするのではなく、目的に応じて役割を分担させることが、効率的な資金管理には欠かせません。

7.3 保障の見直しで運用に回す資金を確保する

さらに、保障の見直しも並行して行うことが有効です。

「少額の負担でも、今までにない保障対象が含まれることで安心できる」という気づきのように、保険を見直す際は、現在のライフステージに合った必要な保障額を再確認することが大切です。合理的に備えることで、浮いた資金を将来のための運用に回すという選択肢も生まれます。

7.4 将来の出口戦略まで見据えておく

また、資産形成を長く続けるためには、将来の受け取り方まで見据える視点も求められます。

「NISAの出口戦略の難しさ」や、運用商品には元本割れのリスクがあるという気づきの通り、ただ積み立てるだけでなく、将来どのように資金を引き出していくかという出口戦略をあらかじめ想定しておくことが大切です。まとまった資金を運用に回す際も、リスクを分散させながら長期的な視点で向き合うことが、働き盛りの時期から資産形成を続けるうえで重要になります。

将来への不安から手当たり次第に積立を増やすと決めつける前に、まずはねんきん定期便で公的年金の見込額を確認し、目的別に資金を整理し、出口戦略を見据えた運用を一つずつ整理してみることが、無理のない資産形成の出発点になります。

8. 監修者からのコメント

熊谷 良子

今回のケースのように、将来への不安から複数の制度や商品に手を広げてしまい、結果的に家計を圧迫してしまう方は少なくありません。

まずは「ねんきん定期便」で将来受け取れる年金の見込額を把握し、そこから逆算して必要な自助努力の額を明確にすることが、資産形成の第一歩になります。

NISAやiDeCo、保険はそれぞれ役割が異なるため、目的別に整理し直すことで、無理のない範囲で継続できる仕組みを作ることができます。

資産形成や保険の見直しは専門的な判断が必要な場面も多いため、不安がある場合はファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することもおすすめします。 

参考資料

菅原 美優