8月14日は、偶数月に一度の公的年金支給日でした。お盆で実家に帰省し、年金を受け取りながら暮らす親世代と顔を合わせた方も多いのではないでしょうか。

ニュースやご自身、あるいは親の口座残高をきっかけに、ふと「老後のお金」について考えた方もいるでしょう。

止まらぬ物価上昇も多くの世帯にとって悩みの種です。帝国データバンクの最新調査によれば、2026年8月の飲食料品値上げは2311品目で前年同月比8割増となり、9月には4000品目を超える見通しとなっています。

年間の値上げ品目数は、調査を開始した2022年以降5年連続で1万品目を超える勢いで、生活費への負担増が懸念されています。

毎月給与明細を確認するたびに、保険料など差し引かれるものが多いと感じる現役世代の方は多いのではないでしょうか。

しかし、それは公的年金を受け取る際も同じです。

現役を引退し、いざ公的年金をもらいながら悠々自適に暮らしていこうと思っても、実際は公的年金の総支給額から色々と控除され、「手元に残るお金は想像よりも少ない」と戸惑うケースは珍しくありません。

この記事では将来の重要な収入源である「老齢年金」のしくみをおさらいしたあと、そこから天引きされるお金について整理していきます。

※本記事は一部「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」を引用のもと執筆しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
ココがポイント
  • 「ねんきん定期便」に記載の年金見込額はあくまで総支給額で、実際に振り込まれる手取り額とは差が生じる点に注意が必要です
  • 年金振込通知書には介護保険料や所得税など《4つの天引き項目》が記載され、総支給額から差し引かれる仕組みです
  • 天引きの一つである介護保険料は3年に1回見直しがあり、今後さらに負担が増える可能性もあるため備えが必要です
菅原 美優
「ねんきん定期便」に載っている見込額は、税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額です。

実際に受け取れる金額は、加入している保険や納税額によって一人ひとり異なります。天引き項目のひとつである介護保険料は3年ごとに見直される仕組みで、今後さらに負担が増える可能性も否定できません。

老後の生活資金を具体的にイメージするためにも、まずは自身の年金振込通知書に目を通し、天引き後の手取り額を把握しておくことをおすすめします。

1. 年金制度の基本とは?ねんきん定期便も確認

まずは「年金制度のしくみ」についておさらいします。

国民年金(基礎年金)は、日本国内に住むすべての20歳から60歳未満の人を加入対象としています。

日本の年金制度は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建制度が採用されており、基本的には65歳から受給となります。

日本の年金制度は2階建て1/3

日本の年金制度は2階建て

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとにLIMO編集部作成

1.1 1階部分=国民年金(基礎年金)

 

  • 加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人
  • 保険料:国民年金保険料は所得にかかわらず一律ですが、年度ごとに見直されます(2026年度は月額1万7920円)
  • 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額を受け取ることができます(2026年度は月額7万608円)

1.2 2階部分=厚生年金

 

  • 加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※1)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
  • 保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変動します。ただし、保険料計算の基となる収入には上限が設けられています(※2)
  • 受給額:加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます

※1 特定事業所:1年のうち6カ月以上、適用事業所における厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除く、共済組合員を含む)の総数が51人以上となる見込みの企業などを指します。
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。

お勤めの形態などによって、加入する年金が異なります。一般的には国民年金だけを受給するよりも、厚生年金を上乗せで受け取る方が金額は多くなります。

2. 「ねんきん定期便」の記載内容は、50歳未満・50歳以上で変わります

このように年金の受給額は加入期間や収入によって異なるため、誕生月に送ってくる「ねんきん定期便」でしっかり確認しておきましょう。

2.1 50歳未満の方に届く「ねんきん定期便」には何が記載されている?

50歳未満の方に届く「ねんきん定期便(ハガキ)」の見方2/3

50歳未満の方に届く「ねんきん定期便(ハガキ)」の見方

出所:日本年金機構「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド

50歳未満の方に届くねんきん定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。

これまでに納めた保険料のみをベースに計算された実績額であり、今後納める予定の保険料は含まれていません。

そのため、今後も保険料を納付していくことで、将来受け取る年金額は記載額から増えていくことになります。

2.2 50歳以上の方に届く「ねんきん定期便」には何が記載されている?

50歳以上の方に届く「ねんきん定期便(ハガキ)」の見方

50歳以上の方に届く「ねんきん定期便(ハガキ)」の見方

出所:日本年金機構「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド

50歳以上の方に届くねんきん定期便には、現在の加入条件のまま60歳まで保険料を納め続けたと仮定した場合の、「年金見込額」が記載されています。

実際の老後の受給額に近い、よりリアルな年金額を確認できるため、ぜひ定期的に確認をしましょう。

3. 「ねんきん定期便」の見込額、そのままもらえるわけではありません

ただし、注意したいのは、「ねんきん定期便」に記載されている見込額を、そのまま受け取れるわけではないという点です。

現役時代の給与でも、総支給額(額面)と実際に振り込まれる金額(手取り)には差がありました。老後の年金も同様に、保険料や税金など、現役時代と同じように天引きされる項目があるためです。

「ねんきん定期便」に記載されている見込額は総支給額であり、実際に口座へ振り込まれる金額とは差が生じます。

天引きされるお金があることを、ご存知だったでしょうか。ここからは、実際にどのような項目が差し引かれているのか、具体的に見ていきましょう。

4. 「年金振込通知書」でわかる《4つの天引き項目》

天引き後の金額を確認できるのが「年金振込通知書」です。

年金振込通知書は、年金を受け取っている方に対して、原則、年金額の改定が反映される6月に日本年金機構から送付されます。

それでは、年金振込通知書にどのような項目が記載されているのか、くわしく見ていきましょう。

年金振込通知書3/3

年金振込通知書

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

4.1 年金振込通知書の項目1.年金支払額

公的年金は原則として、偶数月に2カ月分がまとめて支払われます。

この項目には、税金や社会保険料などが差し引かれる前の、今回支給される2カ月分の「総支給額(額面)」が記載されています。

4.2 年金振込通知書の項目2.介護保険料額

現役時代に給与から差し引かれていた介護保険料は、年金を受給するようになると年金から差し引かれます。

4.3 年金振込通知書の項目3.後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)

介護保険料と同様に、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料(税)が差し引かれます。

ただし、天引き対象でない場合には記載されません。

4.4 年金振込通知書の項目4.所得税額および復興特別所得税額

年金に応じた所得税額および復興特別所得税額が差し引かれます。

社会保険料と各種控除額を差し引いた後の金額に、5.105%の税率を掛けた額が記載されています。

4.5 年金振込通知書の項目5.個人住民税額および森林環境税

所得税と同様に、個人住民税と森林環境税も差し引かれます。

4.6 年金振込通知書の項目6.控除後振込額

この「控除後振込額」が、年金の実際の「手取り額」です。

老後の年金にも現役時代と同様に天引きされる項目があり、「ねんきん定期便」の見込額どおりに受け取れるわけではありません。

介護保険料は3年に1回見直しがあり、少子高齢化に伴い今後負担が増す可能性もあります。正確な手取り額の予想は難しいものの、見込額より少なくなる前提で資金計画を立てておくと安心です。

また、公的年金は偶数月にまとめて支給されるため、奇数月にも受け取れる自分年金を準備しておくのも一つの選択肢です。

5. まとめ

老齢年金の概要や「年金振込通知書」をもとに総支給額と手取り額の違いについて解説しました。

本記事でも紹介したように、控除される項目が複数あるため、実際の手取り額は少なく感じられた方もいるでしょう。

まずは、ご自身の年金見込み額を確認するところから始め、年金だけでは生活費に不足が生じる可能性がある場合は、自助努力で老後資金を準備することが重要です。

資金準備の手段としては預貯金のほか、iDeCoや新NISAなど、様々な方法がございます。

投資には元本割れなどのリスクも伴うため、ご自身のライフステージや許容できるリスクに合った手段を選ぶことが大切です。