6. FPが考える注意点|高齢期の負担は「医療費」だけで見ない

後期高齢者医療制度では、医療機関で支払う自己負担割合に注目しがちですが、実際の家計では毎月・毎年の保険料負担も無視できません。

筆者はFPとしての視点から、老後資金を考える際には「年金収入から何が差し引かれるのか」を確認することが大切だと感じています。

年金額そのものは一定程度見込めても、医療保険料や介護保険料、税金などが差し引かれると、実際に使えるお金は想定より少なくなる場合があるためです。

特に確認しておきたいポイントは、以下の3つです。

  1. 自分の医療費負担割合が1割・2割・3割のどれにあたるか
  2. 住んでいる都道府県の後期高齢者医療保険料はいくらか
  3. 2026年度以降、子ども・子育て支援金分の上乗せ負担はいくらか

月額では小さく見える負担でも、年単位で見ると家計への影響は大きくなります。通知書や自治体の案内を確認し、年金収入から差し引かれる金額を把握しておきましょう。

7. まとめ

後期高齢者医療制度は、原則75歳以上の人が加入する医療保険制度です。医療機関を受診した際の自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割に分かれます。

2026・2027年度の後期高齢者医療制度における医療分の平均保険料額は、全国平均で月額7989円です。ただし、実際の保険料は住んでいる都道府県や本人の所得によって異なります。

また、2026年度からは、医療分の保険料に加えて「子ども・子育て支援金分」も上乗せされます。後期高齢者医療制度の加入者も対象となるため、今後は医療分と支援金分をあわせて負担額を確認することが大切です。

高齢期の家計を考える際は、医療機関で支払う自己負担だけでなく、年金から差し引かれる保険料や税金も含めて確認しておきましょう。

8. 段階的な負担増を客観的に捉え、通知書から正確な手取り年金と固定費の調整を行いましょう

齊藤 慧
後期高齢者医療保険料の都道府県ごとの改定や、2026年度から始まる子ども・子育て支援金の導入など、シニア世帯を取り巻く公的負担は段階的な変化を迎えています。

私が厚生労働省や関連行政機関の取材現場で痛感してきたのは、こうした社会保険制度の改正情報を客観的に受け止め、手元の数字で冷静にシミュレーションを行うことの大切さです。

年金支給額という額面を頼りに家計を計画していても、実際には保険料や税金、精度に伴う新たな支援金が差し引かれるため、口座へ振り込まれる実質的な手取り年金額は着実に変動します。

だからこそ、毎年自宅に届く『住民税の決定通知書』や『保険料決定通知書』を開封し、世帯の正確な可処分所得を算定することが防衛の第一歩になります。不確かな情報に惑わされず、手元の書類から現実的な収支を把握し、それに基づいた固定費の調整など具体的な実務ステップを今日から着実に進めていきましょう。

参考資料

加藤 聖人