陣痛の痛みに耐えていることで暴言を吐いてしまう人もいれば、反対に弱気になってしまう人もいます。痛みでパニックになりながら「こんなに苦しいなんて、どうしてあなたとの子どもをほしいなんて思ってしまったんだろう」や「子どもは愛の結晶というけれど、私はそこまであなたを愛していたわけではなかった」など、心のままに発言してしまった人も。
予想していた以上の陣痛の痛みに心が折れて弱気になってしまっているだけなのですが、こんなことを言われたら、夫も傷ついてしまいますよね。「大変な時だから、奥さんも本心で言っているわけじゃない」と理解してもらえればいいのですが。
立ち会い出産ってどうなの?
立ち会い出産には賛否両論ありますが、㈱ベビーカレンダー(旧社名 ㈱クックパッドベビー)の「『立ち会い出産』に関する意識調査」(2018年)によれば、立ち会い出産をした夫婦は2018年の時点で74%もいたそうです。2003年の時点では31%だったので、比較してみると2倍以上に増えていることがわかります。
また、立ち会った夫に対する満足度調査も行われています。調査結果は「満足した」が最も多く79%、その次に「やや満足した」が続いて16%、合わせると95%もの夫が立ち会い出産に満足した結果となっているのです。
このように立ち会い出産が増加した背景には、夫の理解もありますが、産院やクリニックでの立ち会い出産ができる環境が整ったことも影響しているでしょう。また、働き方改革によって夫が有給休暇を取得しやすくなったということも関係しているのではないでしょうか。
ただ、立ち会い出産が増えているからという理由だけで立ち会い出産を決めてしまうのは、あまりおすすめできません。命がけの出産なので夫の立ち会いがあれば安心感が得られます。ただし、その夫のサポートがストレスとなってしまったり、出産時の暴言などがきっかけで夫婦関係が冷えてしまう可能性もあります。夫婦でよく話し合って決めていきたいですね。
「立ち会い出産」は夫の育児参加を促すのか
「立ち会い出産」を経験した夫は、していない夫に比べて育児参加が多いのか、本当のところはどうなのでしょうか。
前述のベビーカレンダーの調査では、立ち会った夫の満足度は95%と高く、ほとんどの夫の「感動体験」「成功体験」になっているのかもしれません。妊婦として約10カ月間生まれる前の子どもと生活してきた妻とは違い、夫はなかなか父性を築く機会がありません。
立ち会い出産によって、「自分は父親になったのだ」と強く想う瞬間を経験できるのは、長い子育てのスタートとしては良いキッカケになるのかもしれません。
また「妻をうまくサポートできた」という経験は、「自分にも子育てができる」と思わせる出来事になるのかもしれません。
ただ、夫が「自主的に」立ち会い出産を希望しなければあまり効果がないかもしれません。そもそも立ち会い出産を希望する夫というのは、すでに育児に積極的です。そのため育児参加率が高いのはうなずけるのですが、問題は「自分は希望していないのに、半強制的に立ち会い出産させられた夫」です。
このような夫はもともとやる気がないので、出産現場で邪魔になってしまう場合も。助産師さんや妻に注意されたりイライラされて、「やっぱり自分には育児は無理」と思ってしまったり、予想外の難産になってショックを受けてしまうこともあるようです。
出産は本当に何があるか分かりません。中途半端な気持ちを抱えた人が出産現場にいるのは良くありません。夫の希望を尊重しながら決めたいですね。
【参考】
「『立ち会い出産』に関する意識調査」ベビーカレンダー
LIMO編集部