5. まとめにかえて

60歳代の貯蓄は、単身で平均1364万円(中央値300万円)、二人以上で平均2683万円(中央値1400万円)でした。2000万円に届く世帯は限られています。

だからこそ、働く期間・私的な備え・公的年金をつなぐWPPの発想が生きてきます。貯蓄残高に一喜一憂せず、3つの柱の「継投プラン」を描いてみてはいかがでしょうか。

6. 監修者コメント:平均データに惑わされず、年金と就労をリレーさせる仕組みを今日から整えましょう

齊藤 慧
老後の貯蓄額に関する各種の平均値を眺めては、ため息をついたり、逆に安堵したりするのはもったいない時間の使い方です。

私が労働・年金分野の政策審議会や官公庁を取材してきた中で痛感したのは、これからの長寿社会を生き抜くために必要なのは貯蓄の額面そのものではなく、ライフステージに応じた『現金の流れ(キャッシュフロー)』を自分でコントロールできるかどうかという点です。

近年注目を集める『WPP理論』は、特別な資産運用法ではなく、長く細く働くことと年金制度のルールを最適に組み合わせる、極めて実務的で理にかなった家計防衛のアプローチに他なりません。

まずはご自身の源泉徴収票や決定通知書を確認し、世帯の手取り年金額がいくらになるかを把握した上で、働き方とのバランスを調整していきましょう。生活の安心を保つための具体的な見直し手順を、今日のこの瞬間から一歩ずつ進めてみてください。

参考資料

柴田 充輝