5. 監修者コメント:平均額は「知る」ためのもの、「比べる」ためのものではない
銀行員時代、シニア世代の方から「自分の年金は平均より少ないのではないか」と不安を感じているお客様の声を聞く機会がありました。実際には年金額そのものに加えて、退職金や貯蓄、老後の働き方によって家計の余裕度は大きく変わります。
平均受給額を知ることは大切な第一歩ですが、そこで一喜一憂するのではなく、ねんきん定期便やねんきんネットでご自身の将来の見込額を確認し、不足が見込まれる場合は早めに対策を検討することをおすすめします。
厚生年金の受給額は、加入期間や現役時代の年収によって大きく変わります。年代や性別による平均額の違いも参考にしながら、ご自身の状況に近いケースを確認しておくと、老後資金の見通しを立てやすくなります。
なお、公的年金は受給開始を66歳から75歳の間で任意に繰り下げることができ、1カ月繰り下げるごとに受給額が0.7%ずつ増加します。仮に75歳まで繰り下げた場合、受給額は最大84%増える計算です。
平均受給額が心もとないと感じる方は、健康状態や貯蓄状況とあわせて、繰り下げ受給によって毎月の年金額を底上げできないか検討してみるのも一つの方法です。ただし、繰り下げている間は年金を受け取れない点や、ご本人が亡くなった場合の受給総額が変わってくる点には注意が必要です。
また、共働き世帯か片働き世帯か、ご夫婦それぞれの厚生年金の見込額によっても、世帯全体で受け取れる年金額は大きく変わります。ご自身お一人の年金額だけでなく、配偶者の年金見込額もあわせた世帯全体の収入で老後の家計を考える視点を持っておくと安心です。
6. おわりに
厚生年金の平均受給額は約15万円ですが、約2割の方が月10万円未満となっています。なお、この割合はあくまでも厚生年金受給権者の話であり、国民年金のみを受給する方を加えると、さらに多くの方が10万円以下に該当すると考えられます。
老後資金を準備するうえでは、自分たちの将来の年金見込額を確認し、不足が見込まれる場合は早めに資産形成を始めることが重要です。家庭の状況に適した資産形成方法を見つけ出し、早めに取り組むことをおすすめします。
60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上と、年代別の年金月額をより詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考ください。
4月分(6月支給分)から年金が増えます!老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら? いまどきシニアの平均月額を整理
参考資料
木内 菜穂子
