8. 定年前後の会社員に多い「投資はリスクが怖い」という悩みに、元証券コンサルタントが伝えたこと
定年退職が近づくにつれて、老後の収入減に対する不安を抱える方は少なくありません。現役時代のように毎月決まった給与が入らなくなる中で、手元の資金をどのように管理し、日々の生活費を補っていけばよいのかと悩む方も多いです。また、まとまったお金が手元に入ったとしても、それをどう活用すべきか迷ってしまう方もいらっしゃいます。
8.1 50歳代・60歳代に多いお悩み相談は「まとまった資金の運用方法が分からない」「投資はリスクが怖くて手が出せない」

定年を控え、退職金など数百万円規模のまとまった資金を手にする見込みができたタイミングで、このような相談が寄せられることは少なくありません。今後の生活を考えると何かしら行動を起こさなければならないと感じつつも、不安と必要性の間で迷ってしまう方が多いのが実情です。
こうした方に多いのは、資産を「守る」段階から「育てる」段階へどう移行すればよいのか分からず、まとまった資金を銀行預金に置いたまま、次の一歩を踏み出せずにいるという状況です。
8.2 【元証券コンサルタントからのアドバイス】少額から柔軟に、分散しながら育てる発想
こうしたお悩みに対して、資産運用を進めるうえで身につけておきたい考え方を紹介します。
まず見直したいのは、資産運用に対する心理的なハードルを下げることです。投資に対してリスクが高く難しいものというイメージを持っている方は多いですが、「NISAは少額から気楽に始められる、小口の資産形成のような感覚」と気づく方も少なくありません。投資は必ずしも大金をつぎ込んだり、一度始めたら引き出せなくなったりするものではなく、ご自身のペースに合わせて少額からスタートし、必要に応じて引き出せる柔軟な制度を活用することが、投資未経験者にとっての第一歩となります。
そのうえで、リスクを抑えながら運用を続けるための分散投資も重要です。「一つの投資先に集中して失敗したときのショックを和らげるためにも、周囲を固めて安心感を得たい」という考え方に至る方も多く見られます。特定の地域や資産に偏らず、幅広く分散して投資することで、価格変動のリスクをなだらかにすることができます。値動きの不安を軽減し、長く運用を続けられる仕組みを作ることが、結果的に将来の資産を守ることにつながっていくのです。
また、老後の収入減に備えるためには、資産を増やすだけでなく、受け取る仕組みづくりも欠かせません。60代を迎え、まとまった資金の運用先として、定期的に給付金を受け取れる仕組みに関心を持つ方も増えています。手元に現金を残しながら、毎月や数カ月ごとに定期的な収入を得られるメリットは大きく、老後の生活においては、資産の総額だけでなく、いかに安定したキャッシュフローを作るかが重要になります。年金にプラスして定期的な副収入が得られる仕組みを整えることは、現役時代以上に大切になります。
そして、ライフステージの変化に合わせて柔軟に方針を見直すことも忘れてはいけません。退職が目前に迫った段階で、「一旦積立を止めて、退職に向けた資金準備に専念したい」と判断し、それまで続けてきた積立投資を停止する方もいらっしゃいます。このように、状況が変われば無理に投資を続ける必要はなく、その時々の生活防衛資金の確保を優先することが、安心できる老後生活の土台となります。
9. 【監修者コメント】57歳から65歳まで、8年間NISAで月5万円運用したらどうなる?
たとえば57歳から65歳までの8年間、毎月5万円を年3%で運用できたと仮定すると、元本480万円に対して資産評価額は約541万円になる計算です。
通常の課税口座であれば運用益(約61万円)に20.315%の税金がかかりますが、新NISAを活用すればこの非課税メリットをそのまま受け取れます。
すでにお持ちの資産は守りつつ、退職までの残りの期間で無理のない金額を並行して育てていく、という考え方が大切です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 報酬比例部分」
- 厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」
川勝 隆登

