4. 投資家が自ら追うべき「3つのデータ」
FRBが手取り足取り教えてくれない環境下において、私たち一般の投資家はどう動けばよいのでしょうか。
「FRBも『データを見ろ』って言ってるから、わたしたちもデータを見てやったらいいんですよ」
泉田氏は、中央銀行と同じデータを確認し、自ら考える力をつけることが重要だとアドバイスします。今後の相場を見通す上で、投資家が注目すべき3つの重要なデータを解説しています。
1つ目は「CPI(消費者物価指数)」、特に「サービス価格」の動向です。私たちの生活に直結する物価指標であり、インフレが本当に鎮静化しているかを確認する上で最も重要です。
AIの普及が生産性を向上させ、サービスの提供価格を下げる効果を生んでいるかどうかが焦点となります。
2つ目は「雇用統計」です。FRBは物価の安定とともに雇用の最大化も任務としています。失業率が低く雇用が過熱していれば、賃金の上昇を通じてインフレ圧力が強まり、利上げのシグナルとなります。
逆に雇用が冷え込めば、利下げの可能性が高まります。
3つ目は「AIの収益化」です。現在、多くの企業がAIインフラに巨額の設備投資を行っています。しかし、その投資が本当に企業の利益につながり、コスト削減に寄与しているかを見極める必要があります。
もしAIによる生産性向上が確認できなければ、「AIのおかげで利下げができる」という前提が崩れてしまいます。
なお、AIと生産性に関する問題や、量的引き締め(QT)によるバランスシートの縮小、新たな情報発信のルールなど、大きな政策テーマについては、FRB内に設けられた5つの「タスクフォース(作業部会)」での検討に先送りされました。
年末頃までに順次提案がなされる予定です。
つまり、これから年末までの約半年間は、具体的な政策の方向性が見えにくいまま、市場と中央銀行が手探りで向き合うターニングポイントとなります。
投資家にとっては不確実性の高い時期ですが、自らデータを読み解く力を身につけることで、リスクを管理しながら新たな投資のチャンスを見出すことができるでしょう。
参考資料
- FRB「FOMC 記者会見トランスクリプト」(2026年6月17日)
- FRB「SEP(経済・政策金利見通し)」(2026年6月17日)
- FRB「SEP(経済・政策金利見通し)」(2026年3月18日)
- YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日