2026年6月30日に株式会社帝国データバンクが公表した調査結果によると、2026年7月には2566品目の飲食料品が値上げされる見込みです。年間では2万品目ペースに達する可能性も指摘されており、物価高が家計を圧迫し続けています。

スーパーで値上がりした商品を手に取るたび、ふと、今は亡き親の言葉を思い出します。 「年金は2カ月に一度の振り込みになるから、現役時代とは家計管理がちょっと違って難しいのよね」と。

公的年金を主な収入源とする世帯にとって、日々の生活費の上昇は深刻な問題です。次回の年金支給日は8月14日(金)ですが、それまでの2カ月間のやりくりに頭を悩ませている方も少なくないでしょう。

そんな厳しい状況のなかで、ぜひ知っておきたいのが「年金生活者支援給付金」という制度です。

これは、公的年金を受給している方のうち、所得が一定の基準を下回る場合に、本来の年金に上乗せする形で給付が行われる国の支援制度です。

ただし、この給付金は支給要件を満たしていても、ご自身で申請をしなければ1円も受け取ることはできません。「親はきちんと制度を知って、受け取れていたのだろうか」と、今になって気になります。

この記事では、年金生活者支援給付金の対象となる条件や、2026年度の最新の給付額、そして確実に受け取るための手続き方法について詳しく解説します。

ご自身が将来もらい損ねないための知識として、あるいは周りのご家族が対象になっていないか、この機会にしっかりと確認しておきましょう。

1. 「年金生活者支援給付金」とは?年金に上乗せされる国の支援制度を解説

公的年金などの収入や所得の合計が基準額を下回る年金受給者の生活をサポートするために、「年金生活者支援給付金」という制度が設けられています。

この制度は一時金ではなく、年金に上乗せする形で継続的に給付される点が特徴です。

受け取っている基礎年金の種類によって、以下の3つに分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回のみ申請が必要で、その後は支給要件を満たし続ける限り、2カ月に1回の頻度で年金と同じ口座に支給されます。

2. 【3種類別】年金生活者支援給付金の対象者と支給要件を詳しく解説

基礎年金を受け取っている方で、年金収入やその他の所得の合計が一定の基準を下回る場合に、「年金生活者支援給付金」の対象となる可能性があります。

ここでは、3つの種類ごとに具体的な支給要件を確認していきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/9

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が支給対象となります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得を合わせた額が、生年月日に応じて定められた基準額以下であること(※2)。具体的には、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下です。

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、ここでの収入金額には含まれません。
※2 収入の合計額が基準額をわずかに超える方のために、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みがあります。対象となるのは、昭和31年4月2日以降生まれで80万9000円超~90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円超~90万6700円以下の方です。

2.2 障害年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件

障害基礎年金を受給されている方へ3/9

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得額(※)が479万4000円以下であること。なお、この基準額は扶養親族の人数に応じて増額されます。

※ 所得額の計算には、障害年金などの非課税収入は含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/9

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金の対象となるのは、次の要件をすべて満たす方です。

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得額(※)が479万4000円以下であること。この基準額も、扶養親族の人数によって変わります。

※ ここでの所得額には、遺族年金などの非課税収入は含まれません。

3. 年金生活者支援給付金の給付額はいくら?【2026年度の金額一覧】

年金生活者支援給付金は、「老齢」「障害」「遺族」の3種類に分かれており、それぞれ公的年金に上乗せされる形で支給されます。

ここでは、具体的にいくら受け取れるのか、その金額を確認していきましょう。

3.1 2026年度の年金生活者支援給付金、種類別の具体的な給付額

2026年度における年金生活者支援給付金の額は、物価の変動などを反映し、2025年度から3.2%の引き上げとなりました。

年金生活者支援給付金の給付額5/9

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

4. 【申請必須】年金生活者支援給付金を受け取るための手続き方法

「年金生活者支援給付金」は、対象者であっても自動的に支給が始まるわけではありません。受け取るためには申請が必須ですので、手続きを忘れないように注意が必要です。

ここでは、多くの方が当てはまるであろう2つのケースに分けて、請求手続きの流れを解説します。

4.1 すでに年金を受給中の方が新たに給付対象となった場合の手続き

支給対象となった場合6/9

支給対象となった場合

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

  1. 毎年9月上旬から、対象となる可能性のある方へ日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。届いたら、必要事項を記入して切手を貼り、ポストに投函してください。
  2. 案内に記載されている締切日までに提出すれば、10月分からさかのぼって給付金を受け取ることが可能です。締切日を過ぎてしまうと、請求した月の翌月分からの支給となるため、早めに手続きを済ませましょう。

※ はがき型の請求書が届いた方は、マイナポータルを利用した電子申請も選択できます。電子申請を利用した場合、はがきを郵送する必要はありません。

4.2 これから老齢年金の受給が始まる方が給付対象となる場合の手続き

  1. 年金の受給権が発生する3カ月ほど前に、日本年金機構から「年金請求書(事前送付用)」が届きます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。
  2. それぞれの書類に必要事項を記入し、年金の受給が始まる年齢の誕生日の前日以降に、お近くの年金事務所へ「年金請求書」と一緒に提出します。

4.3 2年目以降の手続きは原則不要

「毎年申請が必要なのだろうか」と心配になるかもしれませんが、一度請求手続きをすれば、翌年以降は支給要件を満たしている限り、原則として再度の手続きは不要です。

※ 支給が継続されるかどうかは、毎年度、前年の所得情報などに基づいて自動的に判定されます。その結果は、毎年10月分(12月支給分)から1年間にわたって反映されます。

5. 【参考】国民年金と厚生年金の平均受給額は月いくら?

参考として、現在の年金受給者が実際にどのくらいの公的年金を受け取っているのかを見てみましょう。

厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、国民年金と厚生年金の平均月額を紹介します。

5.1 国民年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均月額:5万7582円

5.2 厚生年金(国民年金を含む)の平均受給月額

  • 〈全体〉平均月額:15万289円
  • 〈男性〉平均月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均月額:11万1413円

年金額は現役時代の働き方や加入期間によって決まるため、受給額には大きな個人差があることがわかります。

6. まとめ

値上げのニュースが絶えない今、亡き親がこぼしていたように「2カ月に一度の年金」でのやりくりは、現役時代以上にシビアな家計管理が求められます。

だからこそ、今回ご紹介した「年金生活者支援給付金」のように、要件を満たせば年金に上乗せされる公的支援を確実に見落とさず活用することが重要です。

「親はちゃんと申請して受け取れていたのだろうか」。そんな思いを抱くからこそ、これから年金生活を迎えるご自身や周りのご家族には、制度を正しく知ってほしいと思います。

老後の生活防衛は、節約や貯蓄だけでなく「もらえるはずのお金」をしっかり申請して受け取ることから始まります。もらい損ねがないか、この機会にぜひ一度確認してみてください。

※当記事は再編集記事です。

参考資料