2. 【監修者コメント】厚生年金のモデル夫婦の年金額は23万7279円。65歳以上の生活費は「赤字」がふつうに

定年近くになってから「思ったよりも老後資金が必要だった」「今から運用をはじめたいけど年齢的に遅い?」と悩む方は少なくありません。

2.1 年金不足や生活費の赤字に悩む人も。監修者コメントつき

老後の平均的な年金と生活費1/1

老後の平均的な年金と生活費

出所:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)―2025年(令和7年)平均結果の概要」と厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとに筆者作成

厚生労働省によれば、令和8年度の厚生年金のモデル夫婦の年金額は23万7279円(※男性の平均的な収入で40年間就業した場合の老齢厚生年金と、2人分の老齢基礎年金の満額の合計)。月23万円台で税金と社会保険料を払いながら生活できるかというと難しく、家計は毎月赤字というご家庭も少なくありません。

実際に総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から65歳以上の夫婦のみの無職世帯の生活費をみると、平均で月4万2434円の赤字です。

「もっと早くはじめていれば」という後悔は、それだけ真剣に老後資金と向き合っている証でもあるでしょう。ただ過去を悔やむ時間は、これからの準備には使えません。

証券会社に勤めていた時代に感じたのは、資産運用に「遅すぎる」と言い切れる年齢は意外とないということです。生活の土台が整い、退職金という原資も見えている60歳は、むしろ落ち着いて始められる時期だと考えられます。

大切なのは大きな金額をいきなり動かして増やそうとするのではなく、無理のない範囲で「慣れながら育てる」こと。少額から始めて投資に慣れ、値動きの違うものに分散し、相場を見ながら段々と慣れていき、少しずつ整えていく。この進め方なら、経験がなくても、大きな失敗を避けながら前に進むことができます。そもそも投資は誰しも完璧にできませんから、慣れていくことが大切なのです。完璧な正解を最初から探す必要はありません。はじめてみて、確かめながら調整していけばよいのです。

宮野茉莉子

定年は、これまでの働きをねぎらう区切りであると同時に、お金と新しく向き合い直す出発点でもあります。まずは、老後に必要な金額を試算し、無理のない積立を一つ設定してみることから始めてみてはいかがでしょうか。今日が、これからでいちばん早い日です。

2.2 国民年金、厚生年金、NISA…老後に向けた資産形成で知っておきたい用語の解説

最後に本文で触れた言葉の中から、老後資金の確認と資産形成を行う中で知っておきたい言葉をご紹介します。

  • 国民年金:20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金の土台(1階部分)で、老後は「老齢基礎年金」として受け取ります。自営業・フリーランスから会社員まで共通して加入します
  • 厚生年金:会社員や公務員が加入する公的年金で、国民年金(基礎年金)に上乗せされる「2階部分」にあたります。保険料や受け取る額は、現役時代の報酬や加入期間に応じて決まります。厚生年金を平均的な15万円以上もらえる人の割合はこちら
    • 年金の仕組みや、国民年金と厚生年金の年金の平均受給額、また1万円刻みで受給権者数を解説している年金一覧表の記事はこちらをご確認ください。平均はいくらなのか、金額ごとにどれくらいの人が受け取っているか、おおよそ把握する目安になります。
  • NISA:投資で得た利益にかかる税金が、一定の範囲で非課税になる制度です。年齢にかかわらず利用でき、これから始める人にも向いています。NISA制度の詳しい説明と、積立投資のシミュレーション(毎月5万円を15年間、年利1〜5%での運用)はこちらで解説しています。
  • 積立投資(つみたて):毎月など決まったタイミングで、一定額をコツコツ買い付けていく方法です。少額から始められ、買う時期を分けることで購入単価を平準化していきます。
  • 分散投資:値動きの異なる資産や地域に資金を分けて持つことで、一つが値下がりしたときの影響をやわらげる考え方です。

参考資料

筒井 亮鳳