4. 「今回は違う」のか?投資家が注目すべきポイント
会社側は、AI需要の強さを背景に、2030年度には売上高1兆円以上、営業利益3,000億円以上という極めて強気な中期見通しを発表しています。現在からわずか数年で規模を倍増させるという計画です。
過去の歴史を知るプロの投資家ほど、「今回は違う」という言葉を安易には信じない傾向があります。
AIの成長性が本物であることは間違いありませんが、それが一直線に伸び続ける保証はどこにもありません。
では、投資家は今後イビデンの株価とどう向き合えばよいのでしょうか。泉田氏は、市場の熱狂に流されず、冷静に事実を確認していくことの重要性を説きます。
「やっぱりEVの市場が伸びますよ、でも実際のセールスはこうでしたよみたいなズレが出てきちゃうと、今までの方向を修正しなきゃいけなくなっちゃうんで。今回の場合だと設備投資なんですけども、そうならないように各四半期ごとの決算をチェックしながら、市場の伸びと合ってるかどうかを見ることが大事かなと思いますね」
イビデンが手掛けるAI向けICパッケージ基板は、間違いなくこれからの時代に必要な技術です。前受金を活用した資金調達も、リスクを抑えるための合理的な判断と言えます。
しかし、過去の歴史が示す通り、需要の急減というマクロ環境の変化は常に起こり得ます。
「3度目の正直」となってイビデンがさらなる飛躍を遂げるのか、それとも「2度あることは3度ある」となってしまうのか。
投資家には、四半期ごとの決算発表を通じて、会社が描くバラ色のストーリーと実際の需要(セールス)にズレが生じていないかを、慎重に見極める姿勢が求められています。
参考資料
- イビデン株式会社「2026年3月期 決算短信」(2026年5月11日)
- イビデン株式会社「2026年3月期 決算説明会資料」
- イビデン株式会社「2025年3月期 有価証券報告書」
- YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日