厚生年金受給権者の平均受給額は月額約15万円ですが、実際に15万円以上の年金を受給している人はどれくらいいるのでしょう。また、受給額の男女格差が気になる人もいるでしょう。

本記事では、厚生労働省の最新データを基にリアルな平均受給額を解説します。老後の生活費や必要な老後資金額のシミュレーションも紹介しますので、老後の資金準備の参考にしてください。

1. 【いまどきシニア】厚生年金・国民年金「みんなのもらえる平均はいくら?」

最初に、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、年金受給額の現状を紹介します。

1.1 厚生年金の平均受給額は約15万円

厚生年金の受給権者の平均受給額(老齢基礎年金+老齢厚生年金)は、15万289円です。ただし、男性の平均受給額が16万9967円に対し、女性は11万1413円と大きな男女格差が生じています。

また、自営業者や専業主婦(夫)など国民年金のみに加入していた人については、平均受給額(老齢基礎年金)が5万9310円(男性は6万1595円、女性は5万7582円)と、厚生年金受給権者の半額以下です。

単身者で平均的な受給額を受け取ると仮定すると、厚生年金を受給する女性や基礎年金だけの人は、年金だけで生活するのは難しいと言えるでしょう。老後資金準備に努めるとともに、年金を受給しながら仕事をすることが必要になるケースもあります。

1.2 受給額15万円以上は約50%

15万円以上の年金を受け取っている人はどれだけいるでしょう。厚生年金の受給権者のうち、15万円以上の人の割合は49.8%です。ただし、男性の68.8%が15万円以上であるのに対し、女性は12.3%に過ぎません。

厚生年金受給権者の受給額分布1/2

厚生年金受給権者の受給額分布

各種資料をもとに筆者作成

ここまで、厚生年金の平均受給額と受給額の分布、受給額15万円以上の人の割合について解説しました。次章では、老後の生活費や年金の不足分を補うために老後資金がいくら必要かについて解説します。

2. 【いまどきシニア】老後の生活費はいくら必要?世帯タイプ別の目安をみる

総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、老後の生活費は世帯のタイプ別に次の通りです。

  • 65歳以上の夫婦のみ無職世帯:支出(月)29万6829円
  • 65歳以上の単身無職世帯:支出16万1435円

このように、老後の生活費は世帯構成によって大きく異なり、夫婦二人では毎月約30万円、単身では約16万円がひとつの目安となります。将来の生活スタイルや住環境なども考慮しながら、これらの数値を基準にゆとりある老後資金の計画を立てていくことが大切です。

3. 【3パターン比較】65歳からの老後資金シミュレーション!年金額で不足額はどう変わる?

年金だけで生活費をまかなえない場合、貯金を切り崩したり、働いて収入を得たりする必要があります。
「もし働かないとしたら、老後資金はいくら足りないの?」という疑問に答えるため、以下の計算式で大まかな不足額を計算してみましょう。

  • 必要な老後資金 = (1ヶ月の老後生活費 - 毎月の年金受給額) × 老後の生活期間(月数)

今回は、以下の基本条件をもとに、受給できる年金額別に「3つのパターン」で具体的にシミュレーションしてみます

《基本のモデルケース》

  • 現在の年齢: 65歳(老後生活を30年間=360ヶ月とする)
  • 1ヶ月の生活費: 16万円(単身者を想定、税金・社会保険料込み)
  • 収入: 年金のみ

3.1 【パターン①:年金月額16万円】男性の厚生年金平均並みの場合

  • 計算式:(16万円-16万円)×360ヶ月=0円

年金額が月16万円ほどあれば、日々の生活費のベースはかなりカバーしやすくなります。生活費としての不足分は基本的にないため、年金だけで生活の土台を維持できる目安となります。

3.2 【パターン②:年金月額11万円】女性の厚生年金平均並みの場合

  • 計算式:(16万円-11万円)×360ヶ月=1800万円

30年間で約1800万円の貯金の切り崩しが必要です。ライフステージの変化(結婚や出産など)で厚生年金の加入期間が短くなりやすい女性などの場合は、受給額が低めになる傾向があります。そのため、あらかじめ準備しておく貯蓄の目安が少し大きくなることも想定しておきましょう。

3.3 【パターン③:年金月額6万円】国民年金の平均並みの場合

  • 計算式:(16万円-6万円)×360ヶ月=3600万円

30年間で約3600万円という、まとまった準備資金が必要になります。自営業や専業主婦(夫)など、国民年金のみに加入している方の場合は受給額が抑えめになるため、現役時代からの計画的な備えがより重要になってきます。

4. まとめにかえて

厚生年金の平均受給額は約15万円で、受給額15万円以上の人は約半数です。ただし、男女間格差が大きいことに注意が必要です。

老後の資金準備をするときは、実際の受給額と老後の生活費を想定して必要な老後資金額を大雑把にでもシミュレーションすることが重要です。安心して老後を過ごすために、早期に資金準備を始めるとともに、老後の働き方や支出の抑制についても検討してみましょう。

参考資料

西岡 秀泰