「うちの貯蓄は、同世代と比べて足りているのだろうか」――物価高が続くなか、ふとそんな不安がよぎる方もいるのではないでしょうか。とくに二人以上の世帯では、教育費や住宅ローン、老後資金など、家計で考えることが少なくありません。

とはいえ、よその家庭の貯蓄事情はなかなか見えにくいもの。そこで参考になるのが、調査にもとづく年代別の平均・中央値です。

今回は、30歳代から60歳代までの二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を年代別に確認したうえで、各種世帯の平均所得もあわせてみていきましょう。

1年の半分が終わる6月ですから、今回のデータを参考に、残り半年の家計や貯蓄を考えてみてください。

1. 【みんなの平均貯蓄額一覧】うちの貯蓄は平均以下・平均以上?30〜60歳代二人以上世帯をみる

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の年代別の金融資産保有額は次のとおりです。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。

1.1 30歳代〜60歳代(二人以上世帯)の貯蓄額(平均・中央値)

30歳代の貯蓄額円グラフ1/4

30歳代の貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

60歳代の貯蓄円グラフ4/4

60歳代の貯蓄円グラフ

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:平均1096万円/中央値311万円
  • 40歳代:平均1486万円/中央値500万円
  • 50歳代:平均1908万円/中央値700万円
  • 60歳代:平均2683万円/中央値1400万円

年代が上がるにつれて、平均・中央値ともに増えていきます。ただし、どの年代も平均が中央値を上回っているのが特徴です。これは一部の貯蓄が多い世帯が平均を押し上げているためで、より生活実感に近いのは中央値のほうといえます。

金融資産を持たない「貯蓄ゼロ」の世帯は30〜50歳代で2割弱、60歳代で12.8%。一方で「2000万円以上」ある世帯は30歳代の12.5%から60歳代の39.6%へと年代が上がるほど増えていきます。年代ごとに金額の幅が広く、二極化のようすがうかがえます。

2. 各種世帯の平均所得はいくら?

貯蓄に関わる一つとして世帯年収があります。厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、2023年の1世帯当たりの平均所得は次のとおりです。なお、ここでの所得は税や社会保険料を差し引く前の総所得で、手取りではない点に注意が必要です。

  • 全世帯:平均536万円(中央値410万円)
  • 児童のいる世帯:820万5000円
  • 高齢者世帯:314万8000円

全世帯の平均は536万円ですが、中央値は410万円。平均所得(536万円)以下の世帯が61.9%を占めており、平均より中央値のほうが多くの世帯の実感に近いことがわかります。

また、世帯主の年齢階級別にみると、50〜59歳が750万円と最も高く、29歳以下は336万4000円。働き盛りの世代で所得がピークを迎え、その時期にどれだけ貯蓄に回せるかが、その後の資産形成を左右するといえるでしょう。

なお、貯蓄のデータは二人以上世帯、所得のデータは世帯人員を問わない全世帯が対象で、母数が異なります。あくまで家計の全体像をつかむ目安として見ていきましょう。

3. みんなの貯蓄とどう向き合う?

年代別の貯蓄と所得のデータをふまえて、自分の家計とどう向き合うか、2つの視点からみていきましょう。

3.1 平均ではなく中央値で「自分の位置」を確かめる

貯蓄も所得も、平均は一部の高い世帯に引き上げられます。「平均に届かない」と落ち込む必要はなく、まずは中央値と自分の家計を見比べてみるのも一つです。同じ年代の中央値を一つの目安に、上回っているか・下回っているかをざっくり把握するだけでも、これからの計画が立てやすくなります。次の目標として平均を考えるのも一つでしょう。

3.2 年代に合わせて貯蓄の置き方を見直す

所得がピークを迎える50歳代前後は、貯蓄を増やしやすい時期でもあります。預貯金で生活防衛資金を確保したうえで、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度の活用も選択肢の一つでしょう。

ただし、投資には元本割れのリスクがあります。日常的に使うお金とは分けて、ご自身の年代や家計、リスク許容度に合うものを無理のない範囲で検討したいところです。

4. まとめにかえて

今回みてきたとおり、二人以上世帯の貯蓄は年代が上がるほど増える一方、各年代とも平均と中央値の差が大きく、世帯ごとの幅が広い状況です。所得も全世帯平均536万円に対し中央値410万円と、平均が実感より高めに出ています。

平均の数字に一喜一憂するより、同世代の中央値を目安に。自分の家計をふり返るきっかけにしたいですね。

参考資料

宮野 茉莉子