5. まとめ:平均値の錯覚から抜け出し、自分自身の正確な「受給見込額」の把握を
公的年金の受給額は、性別や働き方によって大きな差が存在します。
「平均して月額15万円程度」という言葉の裏には、その水準に届かない多くの受給者が存在しているという事実を、まずは冷静に受け止める必要があります。
特に女性の場合、ご自身の厚生年金だけで老後の生活費をカバーするのは統計的に見てもハードルが高く、世帯全体での資産設計や、長く働き続けるための準備が不可欠です。2026年4月の在職老齢年金制度の改正(基準額65万円への引き上げ)は、そうした「長く働くこと」を後押しする重要な仕組みの変更と言えます。
この記事を読み終えたら、まずはご自身の『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』にアクセスし、将来受け取れる「現実的な受給見込額」を1円単位で確認してみてください。
平均値という他人のデータではなく、自分自身のデータに基づいた防衛策を今日から構築していくことが、揺るがない安心への第一歩です。
6. 【監修者のコメント】この記事の総括と実務上の注意点
年金の受給見込額を確認するうえで、実務上最も気をつけていただきたいのは「現在のねんきん定期便に記載されている額面が、そのまま老後の手取り額になるわけではない」という点です。
年金収入からも、一定の基準を超えれば税金(所得税や住民税)が引かれ、さらに国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料が天引きされます。そのため、実際の口座に振り込まれる手取り額は、額面よりも10%~15%程度少なくなると見積もっておくのが安全なリスク管理の基本です。
家計防衛の鉄則は、不確実な平均値に頼るのではなく、自分自身の「正確な手取り年金見込額」から逆算して、今のうちから老後の固定費をスリム化しておくことにあります。ご自身の具体的な受給資格や年金記録に少しでも疑問がある場合は、ネットの情報だけで自己判断せず、必ず管轄の年金事務所へ直接問い合わせ、正確な情報に基づいたライフプランを進めてください。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」
加藤 聖人