日本銀行が今月15・16日に開く金融政策決定会合で、政策金利をほぼ31年ぶりとなる1.0%へ引き上げるとの見通しが報じられ、大きな注目を集めています。
物価上昇への警戒から利上げの可能性が高まる中、安全な資産の預け先として「個人向け国債」の人気が急上昇しており、5月募集分には9435億円もの資金が流入しました。「今月(2026年6月)の金利はいくら?」「固定と変動、どっちを選べばいいの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、投資初心者の方に向けて、6月募集分の最新金利やそれぞれのメリットを分かりやすく解説します。
1. 【6月最新】個人向け国債の金利《固定3年・固定5年・変動10年》それぞれ何パーセント?
2026年6月4日から募集がスタートした個人向け国債では、それぞれ次の金利が適用されています。
- 固定3年:1.51%(税引前)
- 固定5年:1.86%(税引前)
- 変動10年:1.74%(税引前)
個人向け国債には、固定3年、固定5年、変動10年の3つのタイプがあります。
3年・5年国債は、募集時の金利が満期まで適用される固定金利です。一方、10年国債は半年ごとに金利が見直される変動金利で、金利動向に合わせて受け取る利息も増減する仕組みです。
ただし、金利が下がったときも0.05%が下限とされています。
いずれも利息の支払いは年2回で、20.315%の税金が差し引かれた金額が口座に入金されます。
2. 【9435億円が流入】2026年5月募集分「いちばん応募が多かった」のは3つのうちどれ?
財務省の「発行額の推移」によると、2026年5月募集分の発行額は次のとおりです。
- 固定3年:1807億円
- 固定5年:5272億円
- 変動10年:2356億円
最も発行額が多かったのは5年国債で、全体の約56%を占めています。2026年5月募集分では、固定5年の金利が1.89%と最も高かったことが資金集中へとつながったのかもしれません。
ただし、日本銀行は引き続き利上げを行う姿勢を見せており、「変動金利を選んだ方がお得なのでは?」と悩む方もいるかもしれません。
続いての章で、固定金利と変動金利のそれぞれのメリットを解説していきましょう。
3. 【個人向け国債】固定金利を選ぶメリット「受け取り利子を最初から把握できる」
固定3年・固定5年を選ぶ最大のメリットは、受け取れる利子の総額を最初から把握できることです。固定金利では募集時の金利が満期まで適用されますので、購入後は金利動向による影響を受けることがありません。
変動金利に比べてシンプルな商品となっているため、「決まった利回りで運用したい」「安定的に運用したい」という方に向いているでしょう。
また、満期が3年もしくは5年と比較的短いことから、資金を使う予定が決まっている場合にも計画を立てやすいといえます。
4. 【個人向け国債】変動金利を選ぶメリット「市場金利上昇に応じて利子が増える可能性」
変動10年の最大のメリットは、市場金利の上昇に応じて受け取る利子が増える可能性があることです。変動金利では半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上昇した場合にはその恩恵を受けることができます。
また、金利がどれだけ低下しても年率0.05%の最低金利が保証されており、受け取れる利子がゼロになることはありません。
ただし、現在のように5年国債が10年国債の金利を上回ることもあり、必ずしも変動金利が有利とは限らない点に注意が必要です。
4.1 5年国債の金利が最も高くなっているのはなぜ?
5年国債が10年国債の金利を上回っているのは、個人向け国債の金利の設定方法が関係しています。
個人向け国債の金利は、それぞれの満期に対応する基準金利をもとに設定されます。変動10年は10年固定利付国債の利回り、固定5年・固定3年はそれぞれ5年・3年の固定利付国債の想定利回りを基準にする仕組みです。
通常、長期の金利は短期・中期よりも高くなる傾向がありますが、現在の日本では短中期の金利が先行して上昇しており、5年物の市場金利が10年物を上回る局面が生じています。
そのため、個人向け国債でも5年国債の金利が10年国債よりも高くなっているのです。金利動向によっては、必ずしも期間が長い方が金利も高くなるとは限らない点を理解しておきましょう。
5. 【個人向け国債】商品特性を理解したうえで購入先を選ぼう
金融政策が大きく変化している現在、改めて個人向け国債を資産の置き場所のひとつとして検討する人が増えています。
個人向け国債は安定的に資産を運用できるメリットがある一方、固定金利と変動金利の違いは理解しておく必要があります。「この資金をいつまで運用できるか」「今後の金利動向をどう考えるか」といったことを踏まえたうえで、ご自身の投資意向や経験に応じてニーズに合う金利タイプを選ぶようにするとよいでしょう。
参考資料
椿 慧理