3. 銀行へ連絡する前の「預金引き出し」が招く思わぬ相続トラブルとは?
口座名義人が亡くなった後であっても、金融機関がその事実を把握する前であれば、ATMなどから名義人以外の人が預金を引き出せる場合があります。
しかし、このような対応は後々の相続手続きに影響を及ぼす可能性があるため、慎重に判断する必要があります。
3.1 ケース1:家族間のトラブルが起こる可能性がある
口座が凍結される前に預金を引き出した場合、他の相続人から問題視される可能性があります。
預貯金は相続財産に含まれるため、本来は遺産分割協議の対象となります。また、不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月から「相続を知った日から3年以内」に行うことが義務化されたため、こちらも忘れずに対応する必要があります。
そのため、事前の話し合いがないまま資金を動かすと、預金の扱いをめぐって認識の違いが生じることがあります。
こうした行為がきっかけとなり、相続人間の関係が悪化したり、トラブルへ発展したりするケースも考えられます。
とくに、引き出したお金の使い道が明確でない場合は、さらに問題が大きくなる可能性があるため注意しましょう。
3.2 ケース2:相続放棄を選べなくなる可能性がある
相続では、預貯金などの財産だけでなく、借入金などの負債も引き継ぐことになります。
ただし、家庭裁判所で所定の手続きを行うことで、相続放棄を選択することも可能です。
一方で、銀行へ死亡の連絡をする前に預金を引き出した場合、預金の引き出し方法や使途によっては、その行為が「単純承認」と判断される可能性があります。
単純承認とは、相続人が遺産を受け入れたとみなされることで、一度単純承認が成立すると、その後に相続放棄や限定承認を行うことはできません。
つまり、預金の引き出し方法や使用状況によっては、財産だけでなく「負債」も含めて相続する意思があると判断されるおそれがあります。
このようなリスクを避けるためにも、相続手続きが終わるまでは、預金の引き出しを控えるのが基本です。
とはいえ、葬儀費用や各種手続きに伴い、資金が必要になる場面もあります。
次章では、故人の預金を使う必要が生じた場合の対応方法について見ていきましょう。