3. 60歳代世帯→70歳代世帯の貯蓄の特徴

ここまでの内容を踏まえ、60歳代世帯から70歳代世帯にかけての「平均」「中央値」「金融資産非保有率」「2000万円以上保有率」を整理します。

  • 貯蓄平均:2683万円→2416万円
  • 貯蓄中央値:1400万円→1178万円
  • 金融資産非保有率:12.8%→10.9%
  • 2000万円以上保有率:39.6%→37.5%

平均と中央値はいずれも70歳代で減少しています。一方で、金融資産非保有率はわずかに低く、2000万円以上を保有する世帯も比較的多く残っていた点は注目に値します。

同じ世帯を追い続けた調査ではなく、その時点でアンケートに答えた世帯の数字である点には注意が必要です。年代ごとの社会情勢や、退職金・住宅ローン完済の有無も反映されているため、単純な比較はできません。

ただし、70歳代になると貯蓄の取り崩しが進む可能性が高いことは、念頭に置いておきたいところです。「いつ・どのくらい使うのか」を早めにイメージしておくことが、老後の家計を整える第一歩になるでしょう。

4. 年金だけで生活することは困難なのか

現役時代を駆け抜けた分、定年後はゆったり過ごしたい。そう語っていた相談者は多くいました。

しかし収入が年金中心に切り替わってから、急な医療費や住まいの修繕費に頭を悩ませた、という声も少なくありませんでした。

実際のところ、年金だけで老後の暮らしはどこまで支えられるのでしょうか。

4.1 高齢者世帯の総所得に占める公的年金の割合は63.5%

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の総所得に占める公的年金・恩給の割合は63.5%となりました。

つまり高齢者世帯の家計は、平均すると6割強を公的年金が支えていた計算になります。

4.2 年金だけで100%生活できている高齢者世帯は43.4%

同じ調査から、公的年金・恩給が総所得に占める割合別の世帯構成を見ていきます。

  • 100%の世帯:43.4%
  • 80~100%未満の世帯:16.4%
  • 60~80%未満の世帯:15.2%
  • 40~60%未満の世帯:12.9%
  • 20~40%未満の世帯:8.2%
  • 20%未満の世帯:4.0%

「公的年金・恩給だけで生活している」とみられる世帯は43.4%。80%以上に範囲を広げると59.8%となり、約6割の世帯が暮らしの大半を公的年金で支えていました。

裏を返せば、4割近い世帯は年金以外の収入や貯蓄の取り崩しで家計を回していることになります。年金は老後の柱ではあるものの、それだけで安心という世帯ばかりではありません。

同調査では、生活意識を「苦しい」と答えた高齢者世帯の割合が55.8%となりました。前年(2023年)の59.0%からは改善したものの、依然として半数を超える世帯が家計の苦しさを感じている結果です。