3. 女性の厚生年金、男女差が生まれる3つの構造要因と2026年度以降の年金新潮流

3.1 男女差を生む3つの構造要因

厚生年金の年金額は、現役時代の標準報酬月額と加入期間で決まる仕組みです。女性受給者の平均が男性より低くなる背景には、3つの構造要因があります。

1点目は就労期間の短さです。出産・育児で離職する人や、フルタイム就労期間が短い人が一定数います。

2点目は賃金水準の差です。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、女性一般労働者の所定内給与は男性の75.8%にとどまります。

3点目は短時間労働の比率です。これまではパート・アルバイトなどの短時間就労が厚生年金の適用外となるケースが多く、報酬比例部分の積み上がりが緩やかになる傾向がありました。

出所:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

3.2 2026年度の年金額改定で月1300円〜4495円増額

2026年度(令和8年度)の年金額は2026年4月分から改定され、1.9%引き上げられました。実際の振込で増額が反映されるのは、2026年6月15日支給分(4月分・5月分)からです。

老齢基礎年金の満額は前年度比+1300円の月7万608円、厚生年金の夫婦標準モデル世帯は前年比2.0%増の月23万7279円となりました。女性受給者の平均月額11万1413円ベースで考えると、改定で月およそ2100円〜2200円程度の増額が見込まれます。

3.3 2025年成立の年金制度改正法で女性の加入機会が拡大

2025年6月13日に成立した年金制度改正法では、短時間労働者への厚生年金の適用拡大が柱の1つに据えられました。

月額賃金要件(いわゆる106万円の壁、月額8.8万円)の段階的撤廃と企業規模要件の廃止も決定。パート・アルバイトとして働く女性の厚生年金加入機会が大きく広がります。

社会保険の加入対象の拡大3/3

社会保険の加入対象の拡大

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

加入期間と報酬の積み上がりが進むほど、将来の老齢厚生年金は増えます。改正法による適用拡大は、女性の老後の受給額底上げにつながる重要な変更です。