サンリオピューロランド(東京都多摩市)は、2026年8月1日の入館分より、パスポートチケットの価格改定(価格変動幅の変更)を実施します。
今回の改定では、来場日に応じて価格が変動する「ダイナミックプライシング(変動価格制)」の段階数が従来の7段階から10段階へと拡大され、混雑日の上限価格が引き上げられます。
同パークは2014年にチケット体系を刷新し、実質的な「大幅値下げ」を行うことで業績のV字回復を果たした経緯があります。
当時の値下げ戦略から一転し、上限価格を引き上げる背景にはどのような狙いがあるのでしょうか。本記事では、改定の詳細、開業時からの価格推移、および今回の価格戦略の意図について解説します。
1. 本記事の3つのポイント
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2026年8月1日のサンリオピューロランド価格改定の詳細 -
開園から現在に至るまでのパスポートチケット価格の推移 -
業績V字回復につなげた、テーマパークでは異例の価格戦略を解説
2. 8月1日からのパスポートチケット価格改定の詳細
2026年8月1日入館分からの改定では、デイパスポートおよびアフタヌーンパスポートの上限価格が引き上げられます。
価格帯の選択肢が従来の7段階から10段階に増え、混雑が予想される特定日の価格設定が高くなる仕組みです。一方で、閑散期などに適用される「最安値」の価格は据え置かれます。
以下、パスポートチケットの改定内容(大人料金)です。
2.1 デイパスポート(開館から入場可能)
- 改定前:3900円〜5900円(7段階)
- 改定後:3900円〜6900円(10段階)※最大1000円の値上げ
2.2 アフタヌーンパスポート(14時から入場可能)
- 改定前:2800円〜4000円
- 改定後:2800円〜4600円 ※最大600円の値上げ
サンリオピューロランドの8月1日以前/以降の価格表1/1
出所:株式会社サンリオエンターテイメント
大人料金と同様に小人(3歳〜17歳・高校生)およびシニア(65歳以上)の最高値も引き上げられます。
3. 過去のパスポートチケット価格の推移。2014年には値下げも
サンリオピューロランドの1990年の開業から現在までの価格改定の歴史を振り返ってみましょう。
3.1 1990年12月(開園時)~1992年1月
- 入場券:3000円
- ファンタスティックピューロパス:4400円(入場券+アトラクションJOY券1500円分)
※入場券 + 都度課金(JOY券)
3.2 1992年2月~2014年3月
- 入場券:3000円
- パスポート:4400円(入場券+乗り放題フリーパス)
3.3 2014年4月~2019年9月
- 平日:3300円
- 休日:3800円
※入場券を廃止し、パスポート1種類に統合(実質大幅値下げ)
3.4 2019年10月~2022年3月
- 平日:3300円
- 休日:3900円
※消費税増税(8%→10%)に伴う改定
3.5 2022年4月~2024年3月
- 3600円~4900円
※変動価格制(ダイナミックプライシング)を導入
3.6 2024年4月~2026年7月
- 3900円~5900円
※変動価格の上限を5900円へ引き上げ(7段階)
3.7 2026年8月~
- 3900円~6900円
※区分を10段階に増やし、上限を6900円・下限を3900円に変更
4. 2014年の値下げの効果。経営における大きな転換点に
サンリオピューロランドの経営史において大きな転換点となったのが、2014年4月の料金体系改定です。
それまでの同パークでは、「入場券のみで入館し、アトラクションに乗るたびにチケットを購入する」または「4400円のパスポートを購入する」というシステムを採用していました。
しかし、この仕組みは「総額でいくらかかるのか分かりにくい」「館内での都度払いがストレスになる」といった利用者からの不満の声が上がっていました。
2014年4月、パークは入場券を廃止してパスポートへ一本化すると同時に、価格を平日3300円・休日3800円に実質的に引き下げる決断を下します。
この改定により、定額で乗り放題となる安心感と値頃感から、ファミリー層や大人女子(20代〜30代女性)の新規・リピート来場が急増。さらに結果として客単価が向上し、業績の大幅なV字回復を後押ししました。
5. 2026年8月に値上げする意図は?
2014年の「実質値下げ戦略」で成長軌道に乗った同パークが、今回の改定で最高値を6900円まで引き上げる背景には、主に3つの意図があります。
5.1 混雑の平準化(分散化)と顧客体験の向上
近年、サンリオキャラクターの人気再燃や訪日外国人観光客(インバウンド)の増加により、土日や祝日・長期休暇中の館内混雑が著しくなっています。
料金設定を10段階に細分化し繁忙期の価格を上げることで、需要を閑散期や平日に分散させ、アトラクションの待ち時間短縮や館内環境の改善を図る狙いがあります。
5.2 最安値を据え置く「需要に応じたメリハリ」
今回の改定では最安値は据え置きで3900円を維持。価格に敏感な層や平日利用者の利便性を考慮し、一律の値上げを避けることで客離れを防ぎつつ全体の収益性を高める設計となっています。
5.3 運営コスト増への対応と設備・サービス投資
昨今のエネルギー価格高騰、人件費の上昇、施設の維持管理コスト増に対応するためです。また、パーク内のエンターテインメント演出や体験型コンテンツのクオリティを維持・向上させるための原資確保という側面も含まれています。
多くのテーマパークがダイナミックプライシングを活用した価格改定を進める中、サンリオピューロランドも「混雑緩和」と「体験価値の維持」を両立させる価格戦略へシフトしています。
6. トレンドウォッチャーのひとこと

サンリオピューロランドの価格改定の歴史は、テーマパーク業界においてかなり異例と言えます。
1992年2月〜2014年3月の約22年間という長期間にわたり基本料金を据え置き、2014年の改定ではまさかの「実質大幅値下げ」を敢行して業界を驚かせました。
近年は段階的な価格改定が続いていますが、他テーマパークの大人が1万円を超える価格帯へと移行する動きと比べれば、今回の最高6900円という設定は依然として控えめな印象を与えます。
また、区分を細分化して上限を引き上げる一方で、最安値は3900円の価格を維持している点にも、幅広い層の来場者に対する配慮がうかがえます。
参考資料
大蔵 大輔