2026年5月29日の東京株式市場において、日経平均株価は前日比1,636円(2.53%)高の6万6329円50銭と、終値での史上最高値を更新しました。TOPIXも3,957.17と過去最高値を塗り替えています。
市場全体は買いが先行したものの、物色の対象には変化が見られます。これまで生成AI関連として買われてきた「電線」セクターからは資金が流出する一方、村田製作所や京セラといった「電子部品」セクターへ資金がシフトする動きが確認されました。
この影響を受け、光ファイバソリューションを展開するフジクラ(5803)は日経平均に対してマイナス寄与となるなど、指数とは対照的な値動きとなりました。同社の最新業績と今後の事業計画を改めて確認します。
1. フジクラの株式取引概況(株価・時価総額など)
フジクラの株式取引概況を振り返ります。
- 株価(終値):4,771円
- 前日比:▲246円(▲4.90%)
- 始値:5,044円
- 高値:5,047円
- 安値:4,668円
- 出来高:71,394,000株
- 時価総額:8,469,386百万円
- 売買代金:341,482百万円
- PER(会社予想):50.64倍
- PBR(実績):14.10倍
- 配当利回り:0.80%
フジクラは5月29日、5,044円で取引をスタートし、すぐにこの日の高値である5,047円をつけましたが、前引けにかけて下げ続けました。
後場に入って下げ幅を縮め、結局4,771円(前日比▲4.90%)と、大きく4日続落して取引を終えました。
2. 2026年3月期は2ケタ増収増益
次に、同社が5月14日に発表した最新決算をおさらいしてみましょう。
詳細は以下の通りです。
フジクラの決算ハイライト1/2
出所:決算短信より作成
2026年3月期の連結業績は、生成AIの普及を背景としたデータセンタ向け情報通信事業の伸長により、大幅な増収増益となりました。
- 売上高:1兆1,823億円
- 営業利益:1,887億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益):1,571億円
2.1 2027年3月期通期予想は売上高・営業利益は過去最高見込む、最終利益はほぼ横ばい
2027年3月期の連結業績について、同社は売上高と営業利益で過去最高予想と、さらなる成長を見込んでいます。
- 売上高:1兆2,430億円(前期比 +5.1%)
- 営業利益:2,110億円(前期比 +11.8%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益(最終利益):1,560億円(前期比▲0.7%)
米国での巨大データセンタ建設ラッシュを受け、SWR®/WTC®をはじめとする高付加価値な光配線ソリューションの需要継続を背景に、営業利益は過去最高を更新する見通しです。
ただし、原材料調達の制約や物流の停滞リスクを保守的に見積もり、最終利益は前期比▲0.7%と微減~ほぼ横ばいの予想としています。
3. 今期の重点課題は光ケーブル生産能力の拡大など
2027年度は売上高1兆2,430億円、営業利益2,110億円を計画しています。実現に向け、同社は重点課題として、以下を挙げています。
- 情報通信:日米で最大3,000億円を投じ、光ケーブル生産能力を3倍に拡大。高密度なSWR®/WTC®等で差別化優位性を徹底
- 電子・電装:エレクトロニクスと自動車事業を統合。次世代車やAIロボット向けのシナジーを追求
- エネルギー:データセンタ建設や電力インフラ更新等の国内需要を捕捉
- 研究開発:超電導や光電融合等のコア技術へリソースを最適配分
IPランドスケープ活用等の知財活動も強化し、グローバルでの持続的成長を図ります。
4. フジクラの年間チャートをチェック
フジクラ株の1年間の値動きは以下の通りです(2026年4月1日付で実施された1株→6株の株式分割を遡及して反映)。
AI関連の本命株として評価が高まったことで、もみ合いながら右肩上がりに上昇し続けました。
5月14日の決算発表当日には上場来高値となる7,933円まで急騰しました。しかし、5月19日の新中期経営計画で示された営業利益目標3,150億円(2029年3月期)などの材料を織り込み、直近は利益確定売りが先行しています 。
29日も市場の物色対象が電子部品へシフトした影響を受け、ここ5営業日で株価(終値ベース)は5,550円から4,771円まで下落するなど、調整局面が続いています。
フジクラ株の年間チャート2/2
出所:各種資料より筆者作成
5. まとめ
2026年5月29日の日経平均株価が史上最高値を更新するなか、フジクラは市場の物色対象が電子部品へシフトした影響などで4日続落しました。株価は5月14日に上場来高値7,933円を記録しましたが 、現在は新中期経営計画発表後の材料出尽くし感や需給変化により調整局面にあります。
同社の2026年3月期決算は生成AI需要を捉え大幅な増収増益を記録し 、2027年3月期も営業利益2,110億円と過去最高の更新を見込みます。
今期の優先課題は、日米での最大3,000億円の投資による光ケーブル生産能力の3倍への増強です。また、部門統合によるシナジー創出や超電導等の次世代技術開発にも注力します。強靭な財務体質を背景に「攻めの選択と集中」へ転じる同社の動向が注目されます 。
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