4. 在職老齢年金制度の改正ポイント(2025年)

2025年に成立した年金制度改正法により、2026年4月から在職中の年金が減額される基準が見直されました。これまでは、賃金と老齢厚生年金の合計が月51万円を超えると年金が減額されていましたが、この基準額が65万円に引き上げられます。

この見直しは、平均寿命や健康寿命が延びる中で、高齢になっても働き続けたいと考える方が増えている社会状況を反映したものです。年金の減額を気にせず働きやすくすることで、高齢者の就労意欲や社会参加をさらに後押しすることが期待されています。

4.1 在職老齢年金制度の見直しの概要

2026年4月スタート 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます7/7

2026年4月スタート 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます

出所:日本年金機構「2026年4月スタート 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます」

在職老齢年金とは、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、年金額(※)と報酬(給与・賞与)の合計が一定の基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
(※)老齢基礎年金は対象外で、全額支給されます。

年金が減額されない基準額(支給停止調整額)の変更点

支給停止調整額は、毎年度少しずつ見直しが行われてきました。

  • 2022年度:47万円
  • 2023年度:48万円
  • 2024年度:50万円
  • 2025年度:51万円
  • 2026年度:65万円

2025年度の基準額は51万円でしたが、2026年度からは65万円へと引き上げられ、14万円の増額となります。

厚生労働省の試算によれば、この見直しによって新たに約20万人が年金を全額受給できるようになると見込まれています。

この基準額の引き上げにより、これまで年金の減額を気にして働くことを控えていたシニア世代も、より柔軟な働き方を選択しやすくなることが期待されます。

5. まとめ

この記事では、60歳・65歳以上の方々が申請することで受け取れる可能性のある、5つの公的な給付制度について解説しました。

老齢年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」や「加給年金」、そして働き続けるシニアを支える「再就職手当」などの雇用保険関連の給付は、いずれも私たちの生活を支える大切な制度です。

しかし、これらの制度は自動的に支給されるものではなく、ご自身で情報を集め、要件を確認し、手続きを行う必要があります。

今回ご紹介した制度の中に、ご自身やご家族に関係がありそうなものはありましたでしょうか。少しでも気になる制度があれば、ぜひ一度、お近くの年金事務所やハローワークの窓口で相談してみてはいかがでしょうか。

参考資料

中本 智恵