「このワードも嫌だと言われるのなら、どうしたらいいんだ」と一瞬思いました。

でもわかりました。きっとこれは「手伝う」という、言葉のチョイスが良くなかったんだと。

妻が先に取り組んでいるので「手伝う」という言葉を、あまり深く考えずに使ってしまっていました。これは反省しないと……と思っていたのですが、妻の意見はやはり少し違いました。

「『手伝う』とかは正直どうでもいい。やってさえくれれば。私がむかつくのは、このセリフを言ってる時の顔」ということでした。さも「家事も積極的にやる優しい夫」みたいな顔をしているのだそうで、それがイラッとするそうです。

『えーっ、そんなつもりはないのに!』と言うと「いやいや、そうだと思うよ。だから別にいいんだけどね。私が勝手に思っているだけだから」と笑っていました。

怒らせていたことより期待されていないことにショック

妻を想って言ったことは、どれも僕の意図を果たすことはなく、機嫌の悪い妻をイラつかせていたことにちょっと凹んでしまいました。

妻にこれからどんなふうに声をかけたらいいか聞いてみると「『ありがとう』で良いよ」と言われました。

『でも、そしたら俺が「家事は妻の仕事」って言ってるみたいじゃん。それでいいの?』
「そう思うんなら、黙ってやればいいじゃん」

うわ、確かに。ど真ん中のど正論。……そういうことですね。

僕は一人暮らしをしていたこともあり、家事を普通にやっていました。

妻は僕よりもすこし家事の意識が高いだけかと思っていたのです。事実、妻が忙しい日は僕はとくに何も言われなくても家事をします。

それでも、これほどまで実務に差がついてしまいます。妻に家事をさせてしまっており、僕はそれに甘えていたのです。でも、僕にそんな甘えの意識はなく、その甘えに気づいていないうちに妻に諦められていたのでした。

とりあえず、諦められているのは寂しいので、妻に負けないように黙って家事を頑張ろうと決意しました。
これを読んでいる「家事をしているつもり」の夫の皆様。もし心当たりがあれば、見つめなおしてみてはいかがでしょうか……。

柳沢 裕也