iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者が、2026年3月末時点で約392万8000人に達し、過去最多を更新しました。前年同月比+8.2%の伸びで、月3万9000人を超える新規加入が続いています。
加入を検討している人にとって気になるのは、「実際のところ、みんなは月いくら積み立てているのか」という数字です。掛金は月5000円から始められますが、限度額いっぱいまで使う人もいれば、無理のない範囲でコツコツ続ける人もいます。
そこで本記事では、被保険者区分別の平均掛金額と加入者の分布、そして月5000円・1万円・2万円など4つのパターンで30年運用した場合のシミュレーション結果を紹介します。これからiDeCoを始める際の金額設定の参考にしてみてください。
1. iDeCo加入者は過去最多の393万人!会社員・公務員が8割を占める内訳
まずは加入者全体の構成を確認します。2026年3月末時点で、iDeCo加入者の総数は約392万8000人。被保険者区分別の人数は次のとおりです。
1.1 被保険者区分別の加入者数(2026年3月末)
- 第1号被保険者(自営業など):約40万人
- 第2号被保険者(会社員・公務員):約336万人
- 第3号被保険者(被扶養配偶者):約15万人
- 第4号被保険者(私学共済など):約1万4000人
加入者の8割以上を占めるのが第2号被保険者の会社員・公務員です。さらに第2号の内訳をみると、企業年金に加入していない人が約201万人と最も多く、企業年金に加入している人が約59万人、共済組合員(公務員)が約75万人となっています。
なお、第4号被保険者は私学共済等の加入者が対象です。人数こそ少ないものの、対前年同月比+19.2%と最も伸び率が高いカテゴリーです。
2. iDeCo加入者「毎月いくら積み立てている?」平均掛金額をみる
ここからが本題です。iDeCo加入者は毎月いくら積み立てているのか、被保険者区分別の平均掛金額(月額)を確認します。
2.1 平均掛金額(2026年3月時点)
- 全体平均:1万6655円
- 第1号被保険者(自営業など):2万7221円
- 第2号被保険者(会社員・公務員):1万5409円
うち企業年金未加入:1万6449円
うち企業年金加入:1万3640円
うち共済組合加入:1万4066円 - 第3号被保険者(被扶養配偶者):1万3983円
- 第4号被保険者:4万5090円
第1号被保険者の平均が月2万7221円と高水準なのは、自営業者の拠出限度額が月6万8000円と最も高く設定されていることが理由です。
2.2 掛金額階層別の人数分布(全体)
- 1万円未満:約74万6000人(全体の約19%)
- 1万円〜1万9999円:約120万7000人(約31%)
- 2万円〜2万9999円:約177万9000人(約46%)
- 3万円以上:約15万3000人(約4%)
加入者全体の約46%が「月2万円〜2万9999円」の層に集中しています。
これは多くの第2号被保険者の拠出限度額が月2万円〜2万3000円であり、限度額に近い金額で積み立てている人が多いことを示しています。一方、月1万円未満で積み立てている人も全体の約2割存在し、「無理のない金額からコツコツ始める」スタイルも一定数あります。
3. iDeCoの最新シミュレーション「月いくらで30年後どうなる?」4パターンで試算!
それでは、実際にiDeCoで運用するとどれくらいの資産が築けるのか、4つの掛金パターンで30年運用した場合の資産額を試算します。2026年4月1日に厚生労働省「公的年金シミュレーター」で追加されたiDeCoの試算機能をもとにシミュレーション結果をみていきましょう。
【前提条件】
- 会社員(企業年金なし)
- 想定利回り(年率):5%(複利)
- 対象期間:30年間
- 受取時の課税は考慮せず、運用結果のみを比較
3.1 《掛金別シミュレーション結果》30年後の資産額
- 月5000円:約408万円(元本180万円+運用益約228万円)
- 月1万円:約815万円(元本360万円+運用益約455万円)
- 月2万円:約1631万円(元本720万円+運用益約911万円)
- 月2万3000円(会社員上限):約1875万円(元本828万円+運用益約1047万円)
※上記は一定の利回りで運用できた場合の試算であり、実際の投資成果を保証するものではありません。運用商品によっては元本割れのリスクを伴う場合があります。
月々の積立額がそのまま将来の資産額に直結するため、家計に余裕があれば無理のない範囲で掛金を増やすほど、老後に手にできる金額も大きくなります。
なお、上記は運用益のみの試算で、実際にはiDeCo固有の所得控除メリットが加わります。たとえば年収500万円(所得税率10%・住民税率10%)で月2万円を積み立てる場合、年4万8000円の所得税・住民税が軽減され、30年累計で144万円の節税効果が得られます。
4. iDeCoで資産形成「無理ない金額」ではじめよう
今回はiDeCoについて最新の調査結果をもとに、みんなの平均掛金額や30年運用のシミュレーションについて解説しました。iDeCoの加入者が増えていると聞くと、「自分も周りに合わせなきゃ」と焦ることもあるかもしれません。しかし、今回ご紹介したように全体の平均額やボリューム層はあくまで一つの目安に過ぎません。
月5000円という無理のない少額からスタートしても、30年じっくり時間をかければ、将来の大きな安心に繋がることが分かります。大切なのは「自分の家計でいくらなら毎月続けられるか」です。
原則60歳まで引き出せないという注意点もあるため、まずは想定外の支出への対策として生活費6カ月分などの貯蓄を確保することが最優先になります。そのうえで、まずは手の届く金額から、あなたのペースで一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2026年3月)」
- iDeCo公式サイト「お知らせ「公的年金シミュレーター」の新機能追加について」
- 厚生労働省「公的年金シミュレーター」
苛原 寛