国立社会保障・人口問題研究所の『現代日本の結婚と出産―第15回出征動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書―』によると、1990年代から女の子を望む夫婦の割合が増加傾向にあります。
その傾向は現在にいたるまで定着しており、同調査の中の「調査別にみた、夫婦の理想子ども数別子どもの性別組み合わせ」を見ると、1人の子どもを望む夫婦では、男の子が30.2%、女の子が69.8%と圧倒的に女の子が好まれているのが現状です。
3人の子を望む夫婦の中では、「3人とも男の子がいい」と回答したのはわずか0.8%という結果に。一方、3人とも女の子が良いと回答した夫婦は2.5%となっています。
この結果の根底にあるのが、「男の子より女の子の方が育てやすい」という経験者たちからの圧倒的な声。
そこには経験による決めつけや、女の子が欲しいはずだという思い込みが積み重なり、そういった風潮を作り上げた背景もあるように思います。
「落ち着きがない子」や「わんぱくな子」が好まれない現代日本
女の子が好まれる理由のひとつに、「落ち着いている子」や「親のいうことを聞く子」が好まれる現代の風潮が影響しているように思います。
わんぱくで元気な子どもは手がかかるというイメージが、世間一般に定着したことで「男の子3人はかわいそう」といった決めつけがあるように思います。
しかしその決めつけや、わんぱくで元気いっぱいの子の親は大変というイメージが、男の子3人のママの心を傷つけてしまっているということは、まだあまり知られていないようです。
3人の子供を育てたことで気づいたもの
複数の子を育てる際につきものなのが、上の子への「ちょっと待ってね」問題です。おむつ替えや授乳など、どうしても上の子のタイミングでかまってあげることができないもどかしさを、ママたちは常に感じています。
それ以外にもママたちは子育てを通して、自分の中にあるいろいろな感情に気づいていきます。
妊娠をきっかけにお腹の子の「心配」からはじまり、出産後は子どもの発熱やけがなど、その「心配」は波のように押し寄せてきます。さらには、まだ起きていない我が子の将来のことで心配になったり。
それは、子どもを大切に思うからこそ生まれる感情ということを学んでいきます。また、病気に気づいてあげられなかったり、病院に行くタイミングを間違えてしまったりしながら、自分の無知さや無力さを突きつけられたりということもあるでしょう。
知らなければよかった自分?
そして多くのママが驚いていたのが、「自分がこんなにも怒る人間だった」ということです。
この感情は、大人とだけ接していたら気づくことはなかったかもしれません。独身のときは想像できなかった、もどかしさや不安、無力感、怒りなどはどれも共通して「自分が知らなかったために起こる感情」であることが多く、3人目ともなると「こんなことも起こるが、大体は何とかなる」と考えられるようになります。
ただ、これも心身に余裕がある場合であり、疲れてしまっていては、そんな風に構えることは難しいといえるでしょう。
子育てを通して、気づかなかった自分の喜怒哀楽の感情を子どもたちによって丸裸にされる。驚きやショックなこと、ヘコんでしまうこともたくさん突きつけられます。
しかし、それは知らなかったらよかったのかというと、決してそうとは言い切れないでしょう。
子ども達と触れ合いもみくちゃになりながら、自分の新たな一面と出会う。
ときには3人の子育てを通して、強くなっていく自分とも出会えるときがあるでしょう。そんないろんな顔をした自分と正面から向き合うというのも、豊かな人生といえるのではないでしょうか。
【参考】
『現代日本の結婚と出産―第15回出征動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書―』国立社会保障・人口問題研究所
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