初夏の心地よい季節となりました。2024年に抜本的な拡充が行われた新NISA制度も、気がつけば開始から3年目を迎えています。

「老後資金は2000万円必要」といわれるなか、「何から始めればいいかわからない」「投資は難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。

そうした中で注目を集めているのが、2024年から始まった「新NISA」です。

本記事では、新NISAの基本的な特徴を整理するとともに、50歳から65歳まで積立投資を行った場合のシミュレーション結果をもとに、老後資金づくりの現実的な目安について確認していきます。

1. 【2026年から資産形成を始めるなら】新NISAにはどのような利点がある?

NISAは、家計の資産形成を後押しする目的で、2014年に導入された制度です。

その後、制度改正を経て、2024年からは「新NISA」として新たな内容へ移行しました。

新NISAの大きなポイントは、投資で得た利益に税金がかからないことです。

一般的な投資では、株の売却による利益や配当金などに約20%の税金が発生します。

一方で、NISA口座を利用した投資で得た利益については非課税となり、利益をそのまま受け取れます。

新NISA「非課税」のしくみ1/2

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」

ただし、新NISAでは無制限に投資ができるわけではありません。

年間で利用できる投資枠や、購入対象となる商品には一定のルールがあります。

そのため、制度を活用する前に、基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。

1.1 「新NISA」を利用する前に押さえておきたい6つの特徴

新NISAの主な特徴は、次の6点です。

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/2

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

  1. 非課税保有期間は無期限
  2. 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
  3. 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
  4. 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
  5. つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
  6. 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」

「投資はまとまった資金が必要」と考える方もいるかもしれません。

しかし、実際には500円や1000円ほどの少額から始められる商品もあります。

新NISAを利用すれば、投資信託や株式へ少額から投資できるため、初心者でも取り組みやすい制度といえるでしょう。

2. 新NISAを始める前に確認したい3つのポイント

新NISAは少額から始められる制度ですが、無理なく続けるためには、始める前にいくつか確認しておきたいポイントがあります。

とくに50歳代から資産形成を始める場合、運用期間が限られるため、「長く続けられること」を重視する姿勢が大切です。

まず確認したいのが、「生活防衛資金」を確保できているかです。

生活費や急な医療費、住宅修繕費などに備えるため、すぐに使う可能性があるお金まで投資に回してしまうのは避けたいところです。

一般的には、数カ月分の生活費を現金で確保したうえで、余裕資金を使って積立を行う考え方が基本とされています。

次に重要なのが、「毎月いくらなら無理なく積み立てられるか」を把握することです。

老後資金を意識すると高額な積立を考えがちですが、家計を圧迫して途中でやめてしまっては意味がありません。

教育費や住宅ローン、介護への備えなど、今後の支出も考慮しながら、継続しやすい金額を設定することが重要です。

さらに、「何のために資産形成を行うのか」という目的を明確にしておくことも欠かせません。

老後生活費の補填なのか、旅行や趣味を楽しむ資金なのかによって、目標額や積立額も変わってきます。

では実際に、毎月一定額を積み立てた場合、将来的にどの程度の資産形成が期待できるのでしょうか。

次章では、50歳から65歳まで積立投資を続けた場合のシミュレーション結果を見ていきます。

3. 【利回りごとに比較】50歳から65歳まで「月5万円」を積み立てた場合

ここでは、新NISAを活用して積立投資を続けた際、将来的にどの程度の資産形成が期待できるのかを試算します。

今回は一定条件のもとで、想定利回りを年1%から5%まで変化させながら、運用結果を比較していきます。

試算条件は以下のとおりです。

  • 50歳から65歳までの15年間で老後資金をつくる
  • 積立額は毎月5万円
  • 投資信託は「安定的な運用」を重視した1~5%の商品

3.1 【シミュレーション結果】「毎月5万円」×15年×「年1~5%」で積立投資

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

【新NISA】運用利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)

  • 年1%:970万6000円
  • 年2%:1048万6000円
  • 年3%:1134万9000円
  • 年4%:1230万5000円
  • 年5%:1336万4000円

毎月5万円の積立を15年間継続した場合、運用状況によっては最終的な資産が1000万円を超える可能性があります。

積立元本は合計900万円ですが、運用成果によっては約70万円程度から、条件次第では400万円超の利益が上乗せされるケースも考えられます。

ただし、投資にはリスクがある点にも注意が必要です。

一般的に、高い利回りが期待できる商品ほど値動きも大きくなります。

リスクを理解したうえで、家計に負担のない範囲で取り組むことが大切です。

4. 【積立額別に比較】15年間で2000万円を目指す場合

老後資金の必要額は家庭によって異なりますが、ここでは一つの目安として「2000万円」を目標に設定します。

50歳から65歳までの15年間を想定し、この目標額に到達するには毎月どの程度積立を行う必要があるのかを見ていきます。

4.1 【シミュレーション結果】「15年間」×3%で積立投資

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果

【新NISA】積立金額別「運用利回り3%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

毎月の積立金額:資産評価額

  • 1万円:227万円
  • 3万円:680万9000円
  • 6万円:1361万8000円
  • 9万円:2042万8000円
  • 12万円:2723万7000円

※想定利回り:年3%

シミュレーションによると、年利3%で15年間運用した場合、毎月9万円を積み立てることで2000万円超の資産形成が見込まれます。

ただし、月9万円の積立は家計に与える負担も小さくありません。

さらに、利回りはあくまで想定値であり、実際の運用成果によっては目標金額に届かない可能性もあります。

そのため、老後資金の準備は、できるだけ早く始めることが重要です。

たとえば、30歳から65歳までの35年間、同じく年利3%で積立投資を行うケースでは、毎月の積立額は約2万6971円まで抑えられます。

このように、運用期間を長く確保できれば、毎月の負担を軽減しながら将来に向けた資産形成を進めやすくなるでしょう。

5. 50歳代からの新NISA活用は「無理のない積立」が大切

本記事では、新NISAを利用して毎月5万円を15年間積み立てた場合、65歳時点での資産の増加をシミュレーションしました。

今回のシミュレーションでは、50歳から65歳まで毎月5万円を積み立てた場合、利回り次第で1000万円超の資産形成が見込める結果となりました。

一方で、2000万円を15年間で目指す場合には、毎月9万円程度の積立が必要となり、家計への負担も小さくありません。

運用期間を長く取るほど毎月の負担を抑えやすくなるため、自身のライフプランに合わせた資産形成を検討していくことが大切といえるでしょう。

参考資料