ハウスメーカー選びは確認すべき点が広く、何を優先すればよいか分からず、比較を進めるほど迷ってしまう人も少なくありません。

本記事では、住宅相談窓口のアドバイザーとして見てきた実例を交えながら、自分の家づくりに合う1社を見つける考え方を解説します。

※本記事の内容は、筆者の対応経験をもとに、個人が特定されないよう一部内容を一般化・再構成してご紹介しています。

1. 住宅相談窓口アドバイザーが見たハウスメーカー選びの実例

国土交通省住宅局が公表した「令和6年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅取得資金は、土地購入を伴う注文住宅が平均6188万円(中央値5030万円)と最も高く、自己資金比率は32.2%です。

6000万円という高額な費用が必要になる注文住宅、失敗は許されないというプレッシャーから、家づくりに悩みを抱えている人も多いかと思います。

そこで、筆者が住宅相談窓口アドバイザーとして実際に見てきた、ハウスメーカー選びで迷いやすい代表的なケースを紹介します。

1.1 価格だけで選んで迷っていたケース「坪単価約80万円でも予算オーバー?」

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価格を軸にハウスメーカーを探していた方で、同じ価格帯の複数社を比較しているものの、どこも似たような提案に見えて決めきれないケースがありました。

この方は、住宅ローンへの不安が強く、家づくりで何を優先したいのかが整理できていませんでした。

そのため、「この予算で、こういう暮らしが実現できるなら進める」という判断軸を持てず、より安い会社がないかを探し続ける状態になっていました。

ハウスメーカー側も、要望や優先順位が明確な人ほど提案を具体化しやすいため、価格だけで比較している状態では、かえって判断材料が集まりにくくなることがあります。

住宅相談の現場では、坪単価を目安に「この会社なら予算内に収まりそう」と考えていた方が、見積もりの総額を見て迷うケースもあります。

たとえば、坪単価約80万円の会社で30坪前後の家を想定した場合、単純計算では約2400万円です。

坪単価は本体価格の目安として分かりやすい一方で、実際の見積もりでは土地の状況に応じた別途工事費や、選ぶ設備・仕様によって金額が加わることがあります。

そのため、当初は予算内に見えていた会社でも、総額を確認すると想定より高く感じるケースがありました。

価格を見る際は、坪単価だけでなく、総額に何が含まれているのかを確認することが大切です。

1.2 営業担当者との相性で判断が揺れるケース「打ち合わせは10〜15回程度が一般的」

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見学会で見たA社の家に強く惹かれたものの、打ち合わせを進めるうちに判断が揺れたご夫婦がいました。

外観や内装の雰囲気は理想に近かった一方で、並行して相談していたB社の担当者は、質問への返答が的確で、要望の整理や提案の組み立て方にも安心感があったそうです。

悩んだ末、このご夫婦はB社を選びました。

デザイン面ではA社に魅力を感じていたものの、「家づくりは担当者と一緒に細かく形にしていくものだからこそ、信頼して話せる相手を優先したい」と考えたためです。

実際、家づくりは1回の商談だけで完結するものではありません。

パナソニック ホームズの記事では、注文住宅の打ち合わせは10〜15回程度が一般的とされています。

私が住宅相談窓口で担当していた際も、契約前の商談が5〜6回ほどになるケースがありました。

1回あたりの時間はおおむね1時間で、長くても2時間以内に収まることが多かったです。

何度も相談を重ねるからこそ、質問しやすいか、要望を整理してくれるか、不安をそのまま話せるかは、ハウスメーカー選びで軽視できないポイントです。

1.3 夫婦で重視するポイントが違っていたケース「安心か?快適か?」

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ご主人様はRCや鉄骨のような構造面の安心感を重視し、奥様は間取り設計、木造の快適性や断熱性を重視していたため、当初は意見が分かれていました。

机上で工法や性能を比べている間は、どちらの考えもなかなか変わりませんでした。

しかし、紹介した木造住宅のモデルハウスを訪れたあと、ご主人様の受け止め方に変化がありました。

「木の質感や室内環境の違いを体感できた」と話されていたのが印象的で、体感を通じて木造住宅の良さを実感されたようでした。

そのうえで、構造や施工精度についての説明にも納得できたことで、ご主人様も木造を十分に検討できる選択肢として受け止められるようになりました。

夫婦で重視するポイントが違う場合でも、机上の比較だけで悩むのではなく、実際の住まいを体感することで判断軸がそろっていくことがあります。

このように、住まいの快適性はカタログ上の工法や性能だけでなく、実際に体感して初めて分かる部分もあります。

とくに冬場のあたたかさは、室温だけで判断できません。

たとえば室温が同じ20℃でも、断熱性の低い家では、壁や床の表面温度が12.7℃程度まで下がることがあります。

一方で、断熱性の高い家では16.6℃程度を保ちやすく、約4℃の差が生まれます。

条件によって差はありますが、HEAT20では、断熱性能によって壁や床の表面温度に差が生じ、同じ室温でも体感温度に違いが出る例が紹介されています。

そのため、家の断熱性能は快適性を支える重要な要素です。

実際、快適性や断熱性能を重視した結果、当初より予算が上がるケースもあります。

2016年のSUUMOの調査では、注文住宅で当初予算を超えた人も一定数おり、平均で243万円ほど上振れしたというデータもあります。

2. 自分たちに合うハウスメーカーの見つけ方の軸「どんな暮らしをしたいかを考える」

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いかがでしたでしょうか。

これまでお話したように、家づくりでは、見学会や商談を通じて判断軸が整理されること自体が大きな意味を持ちます。

実際にハウスメーカーと会うからこそ、自分たちに必要な条件が明確になり、考えが変わることも珍しくありません。

ただし、「どんな暮らしをしたいか」という原点まで手放すと、提案に流されやすくなります。

大切なのは、その変化が一時的な勢いなのか、視野が広がって必要な条件が具体化した結果なのかを見極めることです。

そのうえで、自分たちの暮らしに必要な条件を満たす会社を絞っていくことが、自分の家づくりに最適なハウスメーカーを見つける近道です。

参考資料