世界中で株価が急落。でも、長期積立投資のエントリーポイントとしては悪くないのでは?
世界中で株価が急落しています。2016年2月12日の終値ベースで、東証株価指数(TOPIX)は年初来▲22.7%、米S&P500は同▲8.8%、独DAXは同▲16.5%、上海総合指数は▲21.9%と、地域別に強弱はあるものの、世界の株式市場は悲観一色とも言える状況です。
今が底なのか、あるいはもっと下があるのか、それを見極めるのはとても難しいことです。しかし、長期投資、特に積立投資を始めるタイミングと考えると、今は悪くないスタートになるのではないでしょうか。
「世界の経済成長」への投資を考えてみる
株価が下がった時に何を買うか。個別銘柄も気になるところですが、今回は「世界の経済成長」に投資するという視点をご紹介したいと思います。
日本の過去20年間を見るとマイナス成長でしたが、世界経済は同期間に年率4%以上成長しています。けん引役はどんどん交代するでしょうし、波もありますが、「世界経済の成長」というストーリーは、将来にわたっても比較的確度の高いものではないかと感じます。
「世界の経済成長」への投資のツールとしての投資信託
投資信託は、個人では直接投資が難しい海外の株式や通貨への投資を可能にする金融商品です。
実は、投資信託に組み入れることができる資産は、規制により1950年代まで国内株式に限定されていました。その後60年代に国内債券、70年代には海外証券の組み入れが認められるようになり、投資対象地域も次第に拡大していきました。
さらに、インターネットの販売チャネルを中心に投信積立のサービスが拡充されたことで、現在は、月々約1,000円から世界の株式や債券に投資することが可能となりました。
世界的に金利が低い水準にある中、今回は、中長期的に世界経済の成長を享受していくための方法として、2種類の海外株式型の投資信託とその活用術をご紹介します。
世界の株式市場全体に効率良く投資する
まずは、世界株式全般に投資ができるファンドを取り入れて、海外投資のための「土台」を作りましょう。特定の指数に連動した投資成果を目指すインデックスファンドなら、保有期間中のコストを抑えた、投資効率の良いポートフォリオを作ることができます。
DIAMアセットマネジメントが運用する「たわらノーロード 先進国株式」は、先進国株式の代表的な指数であるMSCIコクサイ・インデックスに連動した投資成果を目指すインデックスファンドで、国内最低信水準の信託報酬率を誇ります。
また、三井住友アセットマネジメントの「DC全海外株式インデックスファンド」は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)をベンチマークに掲げており、先進国22カ国に加えて新興国23カ国にも投資できる点がポイントです。
さらに足元では、アクティブ運用の海外株式ファンドでもコスト低下の動きが出ています。
ピクテ投信投資顧問の「iTrust世界株式」は、世界で高い競争力を有する60~80銘柄に厳選投資するアクティブファンドでありながら、年率の信託報酬(税抜)は同カテゴリー平均の1.33%を大幅に下回る0.89%(税抜)となっています。
既にインデックスファンドを保有されている方や、インデックスを上回る収益を追求したい方は、運用実績のあるアクティブファンドを取り入れても良いでしょう。
特定の業種やテーマの株式を取り入れ、「+アルファ」の収益を追求する
海外投資のための土台ができたら、次のステップとして「+アルファ」の収益が期待できるファンドを取り入れてみましょう。前述のピクテ「iTrust(アイトラスト)」シリーズでは、世界のバイオ・医薬品関連企業に投資するファンドと、人工知能に代表されるロボティクス関連企業に投資するファンドもラインアップとして展開されています。
いずれも掲げられたテーマの銘柄に特化して投資を行うため、前述の海外株式全般に投資するファンドよりも基準価額が上下に大きく動く可能性があります。単体で保有するのではなく、ポートフォリオの「味付け」として活用するのも一案ではないでしょうか。
【2016年2月16日 篠田 尚子】
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