2026年1月に、厚生労働省から2026年度の公的年金額改定が公表されました。改定額が反映するのは6月15日の年金支給日からですが、年金生活者にとってはいくら増減するのか気になるでしょう。

本記事では、2026年度の公的年金額改定について解説します。年金生活者支援給付金の改定内容や将来見通しなども紹介しますので、年金を受給している人は確認しておきましょう。

1. 2026年度の年金額、《老齢・障害・遺族》基礎年金→対前年度プラス1.9%引き上げ!

2026年度の老齢・障害・遺族の各基礎年金額は、前年度から1.9%引き上げられます。これは、3年度平均の「名目手取り賃金変動率(2.1%)」から、「マクロ経済スライドによる調整率(▲0.2%)」を差し引いた数値です。

「物価変動率(3.2%)」が名目手取り賃金変動率(2.1%)を上回る場合、名目手取り賃金変動率をベースに年金額が改定されます。

令和8年4月分(6月15日(月曜)支払分)からの年金額1/4

令和8年4月分(6月15日(月曜)支払分)からの年金額

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

6月15日(月)に支給される「4月・5月分」から改定額が反映されることになります。

2. 2026年度の年金額、《老齢・障害・遺族》厚生年金「夫婦2人で月23.7万円」

厚生年金の報酬比例部分(加算部分を除く本体部分)は、前年度から2.0%の引上げとなります。基礎年金(1.9%)よりも0.1%引上げ率が高くなっているのは、マクロ経済スライドの調整率に差があるためです。

厚生労働省の標準的なモデル年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)の月額は23万7279円で、2025年度(23万2784円)から4495円増えました。この金額は妻が専業主婦であることを前提とした試算で、共働き世帯などではモデル年金月額を上回る世帯もあるでしょう。

ここまで、基礎年金と厚生年金の2026年度改定額について解説しました。次章では、配偶者・子どもの加算や年金生活者支援給付金の改定額と、将来の見通しについて解説します。

3. 《老齢・障害》厚生年金、配偶者の加給年金「いくらもらえる?」

老齢厚生年金や障害厚生年金については、所定の要件を満たした場合に「配偶者の加給年金」が支給されます。配偶者の加給年金額は次の通り増額されます。

配偶者の加給年金額・月額2/4

配偶者の加給年金額・月額

各種資料をもとに筆者作成

3.1 配偶者の加給年金額(月額)

  • 老齢厚生年金の加給年金額※:3万5308円(+650円引上げ)
  • 障害厚生年金の加給年金額:2万317円(+375円引上げ)

※1943年(昭和18年)4月2日以後に生まれた人の加給年金額(特別加算額含む)です。

加給年金は、配偶者が65歳に到達、または厚生年金被保険者期間20年以上の老齢厚生年金を受給開始すると支給停止となります。

4. 基礎年金・厚生年金、子の加算額「月額でいくら引き上げに?」

老齢厚生年金や障害基礎年金、遺族基礎年金については、所定の要件を満たした場合に「加給年金」や「子の加算額」が支給されます。子の加算額は次の通り増額されます。

子の加算額・月額3/4

子の加算額・月額

各種資料をもとに筆者作成

4.1 子の加算額(月額)

  • 1人目・2人目の子ども:2万317円(+375円引上げ)
  • 3人目以降の子ども:6775円(+125円引上げ)

対象となるのは、18歳到達年度末(3月31日)までの子ども、または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する子どもです。

5. 年金生活者支援給付金、年金の上乗せ「3.2%の引上げ」

年金生活者支援給付金は、所得が一定基準を下回る年金受給者の生活を支援するため、年金に上乗せして支給される給付金です。給付金は、2025年の物価変動率(3.2%)に基づいて改定されます。

年金生活者支援給付金の改定・月額4/4

年金生活者支援給付金の改定・月額

各種資料をもとに筆者作成

そのため、引上げ率は3.2%と基礎年金や厚生年金より高くなります。

6. 年金制度、将来的に《所得代替率》低下傾向

2026年度の改定により、年金額は2023年度以降4年連続で増額となりました。賃金や物価の上昇を反映した結果ですが、増額分が物価上昇に追いついていない状況です。マクロ経済スライドによる調整によって年金の増額率が抑えられているからです。

2024年に公表された「年金財政検証」によれば、「所得代替率(現役男性の平均手取り収入額に対する年金額の比率)」は、「2024年度の61.2%」から「2057年度には50.4%」まで低下する見通し(過去30年投影ケース)です。

年金の実質的な価値が目減りすることが予想されるため、従来以上に自助努力による老後資産形成が必要と言えるでしょう。

7. おわりに

2026年度の年金額改定により、基礎年金は1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%、年金生活者支援給付金は3.2%の引上げとなります。

年金額は4年連続で増額となりますが、マクロ経済スライドによる調整などによって物価の上昇に追いつかない状況です。将来的に所得代替率は低下傾向にあるため、老後資産形成に向けた自助努力が必要です。

参考資料

西岡 秀泰