2. プロが驚く「キャッシュリッチ×高ROE」の二律背反の克服

オービックの強さは、単なる利益の大きさだけではありません。泉田氏が機関投資家の視点から特に注目したのは、同社の「バランスシート(貸借対照表)」の美しさです。

オービックの総資産は6,187億円ですが、そのうち返済の必要がない純資産が5,160億円を占めています。自己資本比率(総資産に対する自己資本の割合)は83.4%に達しており、極めて健全な財務基盤を持っています。

インタビュワーも思わず「キャッシュリッチという会社なんですね」と驚くほどの潤沢な資金を抱えています。

しかし、株式投資の世界において「キャッシュを貯め込んでいること」は、必ずしも手放しで喜ばれるわけではありません。なぜなら、現金をただ銀行に寝かせておくだけでは利益を生まないため、自己資本が大きくなればなるほど、資本の効率性を示す「ROE(自己資本利益率)」が低下しやすくなるからです。

ROEは「当期純利益 ÷ 自己資本」で計算されるため、分母である自己資本(純資産)が大きくなると、計算上どうしても数値が下がってしまうという「二律背反」の関係にあります。

キャッシュリッチと高ROEの両立2/4

キャッシュリッチと高ROEの両立

ところが、オービックのROEは15.8%という非常に高い水準を維持しています。日本の一般的な上場企業のROEが8%前後とされる中、これだけ自己資本が分厚いにもかかわらず、その約2倍の効率で利益を稼ぎ出しているのです。

この事実に対し、泉田氏は次のように解説します。

「純資産がめちゃめちゃ多いのにROEも高いっていうことは、めちゃめちゃ儲かってる。そういうこと」

通常、これほどキャッシュを貯め込んでいる企業に対しては、投資家から「もっと有効に資金を使え」という厳しい声が上がりやすくなります。

しかしオービックの場合、貯め込んだ資金をベースにしながらも15%を超える高いリターンを叩き出しているため、投資家も不満を持ちにくい構造になっているのです。

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