2019年5月10日に行われた、株式会社ハイマックス2019年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:株式会社ハイマックス 代表取締役社長 中島太 氏
損益計算書
中島太氏:2019年3月期の連結損益計算書です。
売上高は148億3,400万円と、前期と比べて9.9パーセント増加いたしました。一方、営業利益は前期比で横ばいとなり、一部不採算プロジェクトが発生し、品質面の問題が顕在化しました。
また、中長期経営計画の重点投資を継続・実施いたしましたが、生産性向上などの取り組みにより、営業利益が9億8,600万円、経常利益が9億9,300万円となって、前期比でほぼ横ばいの水準を確保いたしました。
所得拡大促進税制の税制控除を受けたことにより、当期純利益は7億1,700万円となって、前期比で8.5パーセントの増益となりました。
サービス分野別売上高
続いて、サービス分野別での売上です。まず「システム・ソリューション」サービスは、銀行向け案件などの縮小により79億7,200万円と、前期と比べて1億4,100万円減少いたしました。
「システム・メンテナンス」サービスは、保険及びクレジット業界向け案件などの拡大により68億6,200万円と、前期と比べて14億8,200万円増加いたしました。
業種別売上高
金融・非金融の内訳でございます。金融向けでは保険向け案件で新商品対応案件が拡大し、クレジットの既存案件で受注領域が拡大できたことと、既存エンドユーザー取引でクラウド環境移行案件を受注したことにより、拡大いたしました。
非金融向けは、公共では官公庁向けの継続案件が拡大し、流通向けでは再構築案件で受注領域が拡大いたしました。また「その他業種」では、IoTやAIなどデジタル技術を活用した案件が拡大しております。
顧客別売上高
お客さま別のトピックスでございます。SIerさまとの取引は、前期と比べて10.7パーセント増となり、売上高構成比では75.1パーセントとなりました。
とくに非金融向けは、公共と流通向け案件が拡大し、前期と比べて29.5パーセント増となりました。
エンドユーザー向けの取引は、前期と比べて7.6パーセント増となります。売上高構成比では24.9パーセントとなりました。とくに金融向けは、ネット銀行及び新規顧客との取引が拡大し、またクレジット企業向けで取引が拡大し、前期と比べて12.5パーセント増となりました。
営業利益分析
スライドのグラフは、連結営業利益において増益要因と減益要因を前期比で整理したものであります。
前期の営業利益は9億8,100万円となります。当期の売上総利益の増加要因は、売上高の増収により2億4,400万円、加えて生産性向上などにより1億4,300万円となります。
一方、先ほど申し上げました不採算案件の発生により、1億4,200万円利益を押し下げております。また、中長期経営計画にもとづき、新規事業の創出、社内制度改革への計画投資を継続実施しております。この結果、当期の営業利益は9億8,600万円となりました。
受注の状況
受注の状況でございます。当期の受注高は150億3,400万円と、前期と比べて9.6パーセント増となりました。また、受注残高は27億9,000万円と、前期と比べて7.7パーセント増となっております。
スライド右の棒グラフは、受注高及び受注残高の推移でございます。受注に関しては、順調に拡大する傾向でございます。
受注残高の状況
受注残高の内訳につきまして、業種別に見ますと、金融向けで1億2,200万円増加しております。顧客分野別に見ますと、SIer向けで1億8,500万円増加いたしました。金融とSIer向けが、受注残高の増加に寄与しております。
事業拡大①
2016年度から取り組んでいる中長期経営計画「C4 2022」の状況を報告いたします。
事業拡大への取り組みにつきましては、第2・第3の柱となる顧客づくりに向け、重点顧客としているお客さまへのアカウント営業を強化するために、営業本部員を増員しております。
重点顧客10社に対する売上高は、前期と比べて9.7パーセント増、受注残高は9パーセント増となりました。また、非金融分野の売上高比率は29パーセントと、前期と比べて2.2ポイントの上昇、エンドユーザーの売上高比率は24.9パーセントと、残念ながら前期と比べて0.6ポイント低下となりました。しかし、売上高は2億6,000万円増加しております。
今後も拡大を目指す業種・分野を明確に定め、そのために必要なリソースの確保や人材の育成に注力してまいります。
事業拡大②
新規事業の創出につきましては「RPA on DaaS」などの先端技術を駆使し、働き方改革の実現に向けたソリューションの提供に取り組んでおります。
また、代表的なクラウドサービスであるAPNスタンダードコンサルティングパートナーを取得し、積極的に案件の受注に注力しております。
BtoC向けのビジネスにも取り組み、小学生向けの教育アプリ『トライビット』シリーズ第5弾をリリースいたしました。『トライビット ロジック』においては、Nintendo Switch版も配信しております。
事業拡大③
BtoC向けビジネスの第2弾として、2018年11月にAIを活用した検索アプリ「glancer(グランサー)」を開発し、提供を開始いたしました。
多くの情報が飛び交う現代において、誰もが欲しい時に必要な情報を、ストレスなく検索できるアプリとなっております。検索結果は図解で(示され)わかりやすく、検索時間の短縮を実現いたしました。
また、AIを活用して独自のおすすめ情報により検索をサポートするなど、ユーザー検索をますます快適にしてくれるアプリとして仕上げております。ぜひご利用いただければと思います。
生産革新①
生産革新につきましては、パートナー活用をさらに拡大してまいります。今期のパートナーの動員数につきましては、前期比で15パーセント増加しております。具体的な案件を対象として商談会を開催するなど、より多くのパートナー企業さまとの友好関係の構築を継続して取り組んでおります。また、ASEANを中心にオフショア活用を積極的に展開しております。
生産性倍増への作業標準化につきましては、オープンソースやパッケージ製品などのWeb系生産性向上ツールの適用調査を行い、こちらを全社展開することで、効果的な生産性の向上につなげております。また、ノンプログラミング開発製品やRPAツールの活用にも注力しております。
生産革新②
新技術に関しましては、デジタル・トランスフォーメーションを支える技術の研究と実践に取り組み、ビッグデータ・アナリティクスやクラウドについては、従来のAWSのほか、MicrosoftのAzureも研究対象として取り組んでおります。そのほかにも、アジャイル開発に着目し、研究と実践に取り組んでおります。
この度、世界中のデータサイエンスに携わる技術者の方々が参加する「kaggleコンペティション」に当社の社員が参加し、全体で4位に入賞いたしました。今後も、このような社外活動を支援していきたいと考えております。
また、先端技術を社内展開するために、定期的に「HM-Tech Day」を開催し、各テーマごとに具体的な技術紹介を全社員向けに配信しております。
社内改革①
社内改革の採用及び人材育成の強化については、新卒及びキャリアの積極採用を継続しております。また、PL育成プログラムの再構築にも取り組んでおります。
社内で実施している技術講座に関しましては、自宅でも受講できるよう動画配信を開始いたしました。そのほかにも、全社員が最低でも年1回以上は社外研修を受講できるプログラムを導入しております。社員が成長し続けるための支援と考えております。
スライドの表は、情報処理技術者試験制度などによる資格取得状況の一覧でございます。社内表彰制度の充実を通じて、継続的に資格取得を推進してまいります。
社内改革②
働きやすい職場づくりにつきましては、プロジェクトウォッチの観点からも、残業時間の削減に継続して取り組んだほか、若手社員のコンディション変化を発見するツールを導入しております。支援部門を中心に、RPAの活用に取り組んでまいりました。
また、仕事とプライベートの両立ができるよう取り組んでおり、このたび介護に関わる社員への支援に注力している企業として、神奈川県より「かながわサポートケア企業」の認証を得ております。
社内インフラの整備につきましては、社内基幹システムの全面リニューアルを行い、順次利用を開始しております。M&Aにつきましても、随時検討を進めております。
2020年3月期 業績予想①
2020年3月期の業績予想でございます。まずはじめに、情報サービス産業の状況につきましては、業務系システムの更新需要が底堅く推移していることに加え、新たなデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた、戦略的なIT投資の需要増加も見込まれており、市場全体の状況としては、拡大傾向は継続するものと見ております。
一方、技術者不足は慢性化しており、さらにこの慢性化が加速している状況にあると認識しております。
大規模案件が収束し、中小規模案件が増加しているような状況でございます。新規案件を受注するには、従来以上にプロジェクト・リーダー(PL)の確保・育成が必要となっております。
2020年3月期 業績予想②
このような状況下で、今期に発生した不採算プロジェクト及び品質面の問題については、この3年間の事業拡大のスピードに対して、人材育成及びプロジェクトマネジメント力向上が追いついていなかったことに起因するものと考えております。
(人材育成及びプロジェクトマネジメント力向上は)優先的に取り組む重要課題と認識しております。まず、人材育成及びマネジメント力向上のため、とくにPLの早期育成に注力いたします。
具体的には、個人別に不足しているスキルを明確にしました。そこで体系的にマネジメントが学べる仕組みを用意し、抜本的な見直しを行いました。加えて、OJTで実践的教育を推進いたします。
また、今後の事業拡大を見据えた受注への対応につきましては、既存領域の深掘りによる安定的な継続受注や、DX関連案件の積極的受注に注力してまいります。
なお、受注時において、従来以上にリスクを分析・評価するとともに、将来展望と今後の取引拡大へのアプローチ策を明確にしてまいります。また、働き方改革推進にともない、稼働率の低下を織り込んでおります。
加えて、先端技術の研究、新事業・海外事業の創出等への投資は、継続して行う予定でございます。
今後はさらに受注領域を拡大して、高付加価値ソリューションを提供することを目指してまいりたいと考えております。
2020年3月期 業績予想③
2020年3月期の連結業績の見通しにつきましては、売上高は150億円と、今期と比較してほぼ横ばいを見込んでおります。営業利益は8億円、経常利益は8億300万円、当期純利益は5億3,800万円を計画しております。なお、1株当たりの当期純利益は110円40銭となります。
各業種別売上高の動向
売上高の構成比は金融向けが68パーセント、非金融向けが32パーセントとなる見通しです。
金融向けでは、銀行向けで基盤案件が拡大する一方、証券及びクレジット業界向けの一部案件が収束すると見込んでおります。
非金融向けでは、エンドユーザーとの取引及び官公庁向けの継続案件が拡大し、その他業界では、デジタル技術を活用した案件や、エンドユーザーとの取引の拡大を見込んでおります。
配当政策の基本方針
当社の配当政策の基本方針につきましては、安定的かつ適正な利益還元を継続して実施することと、その適正な水準として、連結配当性向を30パーセント以上と設定しております。
2020年3月期の年間配当金につきましては、1株につき50円と、今期より据え置きの計画としております。配当性向は45.3パーセントとなる予定です。今後もこの基本方針にもとづき、継続してまいります。
中長期経営計画目標値
現在の中長期経営計画の目標値としては、最終年度である2022年度においてスライド右側にある数値への達成を目指しております。
今般の技術者不足の慢性化や、将来の経済環境の見通しなどのいわゆる外部要因と、人材の育成及びマネジメント力の強化を優先課題とする当社の内部要因を踏まえまして、当該計画の第2ステップ終了時にあたるこの2020年3月期に、当該の中長期経営計画の計画の見直しを行う予定でございます。
以上で、説明を終了させていただきます。