新緑が目に鮮やかな季節となり、4月からの慌ただしさも少し落ち着いてきた頃でしょうか。
新しい生活が始まる一方で、物価の上昇が続き、年金だけで暮らしていくことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
日々の生活費を考えると、少しでも収入を増やしたいと考えるのは自然なことです。
実は、公的年金の収入額が一定基準を下回る方を対象に、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。
この記事では、この給付金の対象となる方の条件や、具体的にいくら受け取れるのか、そしてどのような手続きが必要なのかを詳しく解説します。
ご自身が対象になるか、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。
1. 「年金生活者支援給付金」とは?制度の基本的な仕組みを解説
「年金生活者支援給付金」は、公的年金などの収入や所得が一定の基準額に満たない年金受給者の生活を支援するための制度です。
この制度は一時的な給付ではなく、年金に上乗せされる形で継続的に支給されるという特徴があります。
給付金は、受け取っている基礎年金の種類に応じて、次の3つに分類されます。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
給付金の受給を開始するためには申請が必要ですが、一度手続きをすれば、支給要件を満たす限り2カ月に一度の頻度で支給されます。
2. 年金生活者支援給付金の対象者は?種類別の支給要件を確認
ここでは、多くの方が関心を持つであろう「年金生活者支援給付金」の支給要件について、詳しく確認していきます。
2.1 障害・遺族基礎年金を受給している方の支給要件
はじめに「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金、または遺族基礎年金を受け取っていることが前提条件です。
さらに、前年の所得が479万4000円以下であることも求められます。
ここで重要なのは、所得を計算する際に、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれないという点です。
また、扶養している親族の人数によって所得の基準額が上がることも覚えておくと良いでしょう。
2.2 老齢基礎年金を受給している方の支給要件
一方で、老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
- 同一世帯にいる全員の市町村民税が非課税であること
- 前年の公的年金などの収入金額と、それ以外の所得との合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下であること
「老齢年金生活者支援給付金」では、個人の所得だけでなく、世帯全体の状況が要件となる点に注意しましょう。
この判定においても、障害年金や遺族年金といった非課税収入は所得の計算から除外されます。
また、所得が基準額を少しだけ超えてしまい対象外となる方との公平性を図るため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度も用意されています。
対象となるのは、所得の合計額が「昭和31年4月2日以降生まれの方で80万9000円超~90万9000円以下」、または「昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円超~90万6700円以下」の方です。
3. 給付額はいくら?年金生活者支援給付金で受け取れる金額
「年金生活者支援給付金」の給付額は、公的年金と同じように前年の物価変動などを反映して、毎年度改定されます。
それでは、今年度の給付額はいくらになるのでしょうか。
3.1 2026年度の給付額は月額いくらになるのか
2026年度の「年金生活者支援給付金」は、前年度と比較して3.2%の増額となり、基準額は月額で「5620円」に改定されました。
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
ただし、老齢年金生活者支援給付金に関しては、この基準額をベースとして、個人の保険料納付済期間などを踏まえて実際の支給額が算出されます。
4. 申請しないと受け取れない?年金生活者支援給付金の請求手続き
「年金生活者支援給付金」は、自動で支給が開始されるわけではなく、ご自身での申請手続きが必須です。
手続きを忘れると受け取れないため注意が必要です。
ここでは、対象となる可能性が高い2つのパターンに分けて、請求手続きの流れを説明します。
4.1 【ケース1】すでに年金受給中で新たに対象になった場合
- 毎年9月の初めから、対象となる方へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。届いたら必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函します。
- 締切日までに提出すると10月分から遡って支給されますが、提出が遅れた場合は請求した月の翌月分からの支給となるため、早めに手続きを済ませるのがおすすめです。
※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」を受け取った方は、マイナポータルからの電子申請も選択できます。電子申請を行った場合、はがきの郵送は不要です。
4.2 【ケース2】これから年金受給を開始する場合
- 年金の受給資格が得られる3カ月前になると、日本年金機構から年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が郵送されます。この書類の中に「年金生活者支援給付金請求書」も一緒に入っています。
- 必要事項を記入した上で、受給が始まる年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出してください。
4.3 翌年以降の手続きは原則不要
一度請求手続きを行い受給が認められれば、翌年以降も支給要件を満たしている限り、原則として再度の手続きは必要ありません。
※年金生活者支援給付金は、毎年、前年の所得情報などをもとに継続して支給できるかどうかの判定が実施されます。その判定結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間にわたって適用されます。
5. 高齢者世帯の生活実態をデータで確認。「生活が苦しい」と感じる割合は?
ある調査によると、高齢者世帯の半数以上が日々の暮らしに「苦しさ」を感じているという結果が報告されています。
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に、高齢者の生活意識の実態を見ていきます。
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯の生活意識は以下のようになっています。
5.1 高齢者世帯の生活意識の内訳
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果を見ると、「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた割合は55.8%にのぼり、半数を超える世帯が生活に苦しさを感じていることがわかります。
また、「普通」と回答した世帯よりも、生活が「苦しい」と感じる世帯のほうが多いという実態が明らかになりました。
6. まとめ
本記事では、公的年金に加えて支給される「年金生活者支援給付金」について、対象者の条件、給付額、申請方法などを解説しました。
物価高が家計を圧迫する状況において、月々数千円でも収入が増えることは、生活の安心感につながるかもしれません。
この給付金は、自分自身で請求手続きを行わなければ受け取ることはできません。
ご自身が対象になるかもしれないと思われた方は、まず日本年金機構からのお知らせが届いていないか確認することをおすすめします。
もし不明な点があれば、給付金専用のダイヤルや最寄りの年金事務所へ問い合わせてみるのも良いでしょう。
活用できる制度を正しく知り、今後の生活をより豊かにするための一助となれば幸いです。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- LIMO「年金に月額5620円が上乗せされる?「年金生活者支援給付金」の支給要件と申請方法をわかりやすく解説」
マネー編集部年金班