2. 【良品計画】国内に迫る海外売上と、驚異的な利益率の構造
良品計画の事業構造を分解していくと、同社がすでに立派な「グローバル企業」であることがわかります。
上期の営業収益4,385億円の内訳を見ると、国内事業が2,443億円であるのに対し、海外事業の合計は約1,900億円に達しています。
つまり、会社全体の売上の半分弱はすでに海外で稼ぎ出している計算になります。海外では「MUJI」というブランド名で広く展開されており、世界的な認知度を高めています。
さらに泉田氏が注目したのは、国内と海外における「成長スピード」の違いです。
「日本の売上は伸びてはいますけど8%増。今度海外事業で行くと25%とか伸びてるんですよ」
実際のデータを見ると、国内事業の営業収益が前年同期比8.1%増であったのに対し、海外で最も規模の大きい東アジア事業は23.3%増、東南アジア・オセアニア事業に至っては35.4%増という驚異的な伸びを示しています。
しかし、海外事業のすごさは売上の成長率だけにとどまりません。泉田氏がプロの投資家として特に高く評価したのは、その「利益率の高さ」です。
国内事業の営業利益率が11.3%であるのに対し、東アジア事業の営業利益率はなんと20.3%に達しています。小売業において、営業利益率が20%を超えるというのは非常に高い水準です。
なぜ海外においてこれほどまでに稼げる構造になっているのでしょうか。
泉田氏は、海外市場において「MUJI」ブランドがしっかりと訴求できており、適切な価格コントロールができていることが要因の一つだと分析します。さらに、企業の収益構造という観点から、次のように解説しました。
「国内だといろんな固定費を国内でカバーしてる可能性は全然あるんだけども、伸びてるところでしっかり利益率が高くなってるっていうのは、この会社の将来の収益を予想する上ではすごくポジティブな材料ですね」
企業は、本社機能やシステムの維持など、様々な「固定費」を抱えています。良品計画の場合、そうした基盤となる固定費の多くを売上規模の大きい国内事業で吸収している可能性があります。
そのため、海外事業では売上が伸びれば伸びるほど、利益が手元に残りやすい(利益率が高くなる)構造になっていると考えられるのです。
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著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日