4. 配当より出店アクセル?株主還元と市場コミュニケーションの難しさ
今回の決算発表に合わせて、良品計画は株式分割と増配(年間配当予想を前期比7円増の32円へ上方修正)という株主還元策を発表しました。
一見すると、株主にとって「手元のキャッシュフローに余裕がある中での増配」は、喜ばしいニュースに思えます。
しかし、泉田氏は成長企業における株主還元のあり方について、非常に鋭い指摘を行いました。
「こういう会社が配当を増やすよりは、どんどん出店した方がいいんですよ。そっちの方が株価は上がると思います」
なぜでしょうか。それは前述の「高PERを正当化する理由」と密接に関わっています。株式市場は、良品計画に対して「10年、15年と長期にわたって海外で成長し続けること」を期待して高い株価をつけています。
もし会社側が「手元に現金が余ったから配当や自社株買いに回します」というメッセージを過剰に出してしまうと、投資家は「もしかして、もう海外に出店して成長する余地がないから、お金を配るフェーズに入ったのか?」と疑念を抱いてしまいます。
これが、市場の期待と会社の経営判断のズレ(ネガティブギャップ)を生み出してしまうのです。
「単純に増配すれば株主還元しているから株価上がるんだっていう安直な考えだと、株式市場とのコミュニケーションがうまくいかない可能性は高い」
泉田氏は、良品計画は依然として出店ポテンシャルがあり、出店用の費用を見積もった上でも余裕があるから配当を出していると分析しつつも、企業側は「まだまだ成長投資を優先する」という姿勢を市場に対し、丁寧にコミュニケーションしていく必要があると強調しました。