2. 営業キャッシュフローが超大幅増!3つのCFから読み解く財務の裏側
企業の経営状態を正確に把握するためには、損益計算書(売上や利益)だけでなく、実際のお金の出入りを示す「キャッシュフロー(CF)計算書」の確認が不可欠です。
泉田氏も動画の中盤でこの点に注目し、良品計画の財務体質を詳細に分析しました。
2.1 営業活動によるキャッシュフロー:440億円の獲得
本業でどれだけ現金を生み出したかを示す営業CFは、当期上期で440億円のプラスとなりました。前年同期が78億円だったことを踏まえると、劇的な増加です。
この大幅な改善について、泉田氏は主に2つの要因を挙げています。1つ目は、純粋に売上と利益が増加したことによる「税金等調整前中間純利益」の増加です。2つ目は、在庫と支払いの高度な管理です。
泉田氏は、棚卸資産(在庫)の増減額が前年同期比で約68億円改善し、仕入債務の増減額が約198億円改善しているデータに触れ、次のように分析します。
「在庫のコントロールがうまくいって、債務の支払いをうまくコントロールすることで(中略)変化としてそこは貢献しているかなと思います」
通常、売上が伸びればそれに伴って在庫も増えがちですが、良品計画は売れ筋を見極めて在庫の増加を抑えつつ、仕入先への支払いのタイミングを適切に管理する「キャッシュマネジメント」を機能させています。
これが、手元の現金を大きく増やす結果につながりました。
2.2 投資活動によるキャッシュフロー:158億円の支出
将来の成長のための投資(店舗の出店や設備投資など)を示す投資CFは、158億円のマイナス(支出)となりました。前年同期の225億円のマイナスと比べると支出額は減っていますが、依然として積極的な投資を続けていることがわかります。
ここで重要なのが、営業CFと投資CFを足し合わせた「フリーキャッシュフロー(自由に使えるお金)」です。
前年同期はマイナス147億円でしたが、当期はプラス282億円へと大きく黒字転換しました。つまり、出店などの成長投資を行っても、なお手元に十分な現金が残る強固な財務体質になっているということです。
2.3 財務活動によるキャッシュフロー:173億円の支出
資金の調達や返済、株主への還元を示す財務CFは、173億円のマイナス(支出)となりました。
前年同期はプラス(調達)でしたが、当期は手元に潤沢な現金があるため、短期借入金(約47億円)の返済を進めるとともに、株主への配当金の支払い(約78億円)を増やしています。
結果として、これらのCFをすべて合算しても、良品計画の現金残高はこの半年間で176億円も増加しました。
泉田氏は「現金が増えているので増配したけれども、まだ余裕はある」と、同社の資金繰りの健全性を高く評価しています。
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著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日