5月に入り、過ごしやすい季節となりました。
先週、総務省と厚生労働省から物価と年金に関する重要な統計が相次いで公表されました。
2025年の消費者物価指数は前年比で3.2%の上昇となり、家計を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いています。
このような状況のなか、2026年度(令和8年度)の年金額は引き上げられることが決まり、国民年金の満額は月7万円台に到達しました。
しかし、年金額の引き上げが、そのまま生活のゆとりにつながるとは限りません。
実際の年金受給額は、国民年金か厚生年金かという制度の違いだけでなく、これまでの働き方や加入期間によって大きく異なります。
本記事では、2026年度の年金額例に加え、60歳代から90歳代以上のシニア世代が実際に受け取っている年金の平均額や分布について、データをもとに分かりやすく解説します。
1. 2026年度の年金額が発表。国民年金と厚生年金、それぞれの支給額例はいくらになるのか
厚生労働省が公表した、2026年度における年金額の例は以下の通りです。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):1人分で月額7万608円(※1)
- 厚生年金:夫婦2人分で月額23万7279円(※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(前年度比+1300円)となり、年齢によって受給額が変わります。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)を得る男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準を示したものです。
厚生年金の月額23万7279円は、夫婦2人分の合計額です。
これは注釈にあるように、「月額45万5000円の収入で40年間会社員として働いた夫の厚生年金と国民年金」に、「40年間、第3号被保険者や自営業者などであった妻の国民年金」を合わせたモデルケースです。
現代では共働き世帯や単身世帯、自営業の方など、ライフスタイルは多様化しています。
そのため、この金額はあくまで一つの目安であり、実際の受給額は個々の加入状況によって大きく異なることを理解しておく必要があります。
参考までに、2025年度(令和7年度)の厚生年金額は23万2784円で、これで4年度連続の増額改定となりました。
国民年金の満額も2025年度の6万9308円から増えています。
年金額が増えることは、受給者にとって喜ばしいニュースに思えるかもしれません。
しかし、実際には年金額が実質的に目減りしている側面も存在します。
その理由については、次章で詳しく見ていきます。
2. 厚生年金の概算額:平均年収約610万円で約40年働いた男性のケース
厚生労働省は、2026年度(令和8年度)の年金額例とあわせて、「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」も公表しました。
これは、個人の公的年金加入履歴に基づき、65歳時点での年金受給額の平均や分布を将来にわたって推計したものです。
この資料からは、厚生年金に長く加入して働いた人ほど年金額が高くなり、国民年金のみの加入者は月額6万円前後に留まる傾向が読み取れます。
また、同じ年金制度であっても、性別や就業期間の違いによって受給額に大きな差が生まれています。
2026年度(令和8年度)は全体的に増額改定となりましたが、ライフコースによる受給額の差は依然として大きいことが特徴です。
2.1 厚生年金加入が中心だった男性の年金額
厚生年金に約40年間加入し、平均年収が約610万円だった男性の場合、2026年度の年金額は月額17万6793円と推計されています。
この金額には、約7万円の基礎年金に加えて、現役時代の収入に応じた厚生年金部分が含まれています。
約40年間にわたり厚生年金に加入してきたこの層は、公的年金受給者の中では比較的安定した水準にあるといえます。
3. 60歳代から90歳代までの年金受給者、国民年金と厚生年金の平均額を解説
ここでは、厚生労働省が2025年12月に公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、60歳代から90歳代以上の全受給権者の「平均年金月額」と「受給額の分布」を確認していきましょう。
3.1 国民年金(老齢基礎年金)の平均的な受給月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
3.2 厚生年金(老齢厚生年金)の平均的な受給月額
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金(老齢基礎年金)の額を含みます。
国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は、男女ともに月額5万円台です。
一方、厚生年金(老齢厚生年金)は全体の平均が月額15万円台であるものの、男女間では約6万円の差が見られます。
この差が生じるのは、厚生年金の受給額が現役時代の賃金水準や加入期間によって決定される仕組みだからです。
厚生年金は収入に比例して保険料を納付する制度のため、働き方や就業期間の違いが将来の年金額に反映されやすいという特徴があります。
特に現在のシニア世代の女性は、出産や育児、家庭の事情などを理由に働き方を変えたり、一時的に離職したりするケースが多くありました。
その結果として厚生年金の加入期間や賃金水準に差が生まれ、平均受給額の男女差につながっていると考えられます。
4. まとめ:年金額改定と自身の受給額を確認する重要性
今回の記事では、2026年度の年金額改定の内容と、国民年金および厚生年金の平均受給額について見てきました。
年金額は増額改定が続いていますが、物価の上昇を考慮すると実質的には目減りしていると感じる方も少なくないでしょう。
記事で紹介した平均額やモデルケースは、あくまで参考値です。
実際の受給額は一人ひとりの加入履歴によって大きく変わります。
将来の生活を具体的に計画するためにも、「ねんきんネット」などを利用してご自身の年金見込み額を確認し、ライフプランの参考にすることが重要です。
※当記事は再編集記事です。



