6. 【見えない老後コスト②】認知症リスクと家族の負担が老後資金を左右する

高齢化の進展とともに、介護と切り離せない課題として挙げられるのが認知症です。

6.1 認知症は増加傾向に

2022年時点では、高齢者(65歳以上)における認知症の有病率は約12.3%、MCI(軽度認知障害)は約15.5%、合計で約28%にのぼると推計されています。

今後も増加が見込まれており、「判断能力の低下」への備えは避けられない社会課題となっています。

6.2 介護の長期化で膨らむ「累積負担」

認知症に伴う介護では、身体介護だけでなく、徘徊への対応や金銭管理など、日常生活全体を支える「見守り」が必要になるケースが少なくありません。

そのため、一般的な介護よりも期間が長引きやすく、たとえ毎月の支出額は少額でも、5年、10年と続けば、総額の負担は決して小さなものではありません。

6.3 見落とせない「家族側の負担(見えにくいコスト)」

さらに、介護の影響はお金の問題だけにとどまりません。

介護による離職や、通院の付き添いといった家族の「時間的・心身の負担」も深刻な問題です。介護が長期化して家族の疲労が蓄積すれば、結果として外部の介護サービスへの依存度が高まり、さらに支出が膨らむケースもあります。

老後資金を準備する際は、一時的な初期費用だけでなく、認知症リスクに伴う介護の長期化や、こうした「見えにくいコスト」までを想定しておくことが、現実的な生活設計につながります。