新緑が目に鮮やかな5月を迎え、過ごしやすい季節となりました。
しかし、依然として物価の上昇は続いており、家計への影響を実感しているご家庭も多いのではないでしょうか。
新年度がスタートし、何かと物入りな時期に、自治体からの支援は心強いものです。
現在、国からの重点支援地方交付金などを財源として、各自治体が独自の給付金制度を実施しています。
これらの給付金の多くは自動的に振り込まれますが、一部には申請手続きが必要なケースもあり、期限などの確認が欠かせません。
この記事では、2026年度における東京都の練馬区、荒川区、新宿区の具体的な取り組みを紹介します。
あわせて、給付金の対象となることが多い「住民税非課税世帯」の仕組みについても詳しく解説していきます。
1. 給付金の対象になりやすい「住民税非課税世帯」とはどのような世帯か
今回の給付金は、自治体によって対象者が異なります。
主な対象者として「全住民」「住民税非課税世帯」「住民税均等割のみ課税世帯」などが挙げられます。
給付金の対象となることが多い「住民税非課税世帯」とは、住民税の「均等割」と「所得割」の両方が課税されない世帯を指します。
- 均等割:所得額に関係なく、一定以上の所得がある場合に一律で課税される税金です。
- 所得割:前年の所得額に応じて課税額が決まる税金で、所得が多いほど税負担も増える仕組みです。
この均等割と所得割のどちらも課税されない状態が「住民税非課税」です。
そして、世帯に属する全員がこの条件を満たす場合、その世帯を「住民税非課税世帯」といいます。
1.1 住民税が非課税となる具体的な条件
具体的に、以下のようなケースが住民税非課税の対象となります。
- 生活保護法による生活扶助を受けている方
- 障害者、未成年者、ひとり親、寡婦のいずれかに該当し、前年の合計所得金額が一定の基準を下回る方
- 前年の合計所得金額が、お住まいの自治体が定める非課税限度額以下の方
1と2の条件は全国共通ですが、3の所得基準は自治体によって異なる場合があります。
一例として神戸市では、住民税が非課税となる所得の目安を「35万円 × (本人 + 同一生計配偶者※ + 扶養親族の人数) + 31万円」としています。
なお、同一生計配偶者や扶養親族がいない単身の方の場合、合計所得金額が45万円以下であることが基準です。
※同一生計配偶者:納税者と生計を一つにする配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の人を指します。
※上記は東京23区や神戸市などの都市部(1級地)の例です。お住まいの自治体(2級地・3級地など)によっては、非課税となる目安の金額がこれより低くなる場合がありますので、必ず各市区町村のホームページ等でご確認ください
この基準を年収に換算すると、単身世帯で給与収入のみの場合は年収110万円以下が目安です。
また、65歳以上で公的年金収入のみの方は、年金収入155万円以下が非課税の目安となります。
一方で、配偶者や扶養親族がいる世帯の場合、非課税となる収入の上限は高くなります。
特に、65歳以上で公的年金収入のみの世帯では、扶養親族が1人いると収入目安が211万円以下となります。
これは単身世帯と比べて基準が大きく緩和されている点が特徴といえるでしょう。
【単身世帯】合計所得金額45万円以下が目安
- 給与収入のみの場合:年収110万円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの場合:年金収入155万円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの場合:年金収入105万円以下
【扶養親族がいる世帯】合計所得金額101万円以下が目安
- 給与収入のみの場合:年収166万円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの場合:年金収入211万円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの場合:年金収入171万3334円以下
このように、住民税が非課税になるかどうかは、世帯構成や収入の種類によって大きく変わってきます。
2. 2026年度も続く「低所得世帯への給付金」東京都の事例を紹介
ここからは、国の交付金を財源として2026年度に独自の給付金を実施している自治体の例として、東京都の練馬区、荒川区、新宿区の取り組みを見ていきましょう。
2.1 【練馬区】令和7年度第2回物価高騰対策給付金について
支給対象は、令和7年12月1日時点で練馬区に住民登録があり、以下のいずれかの条件を満たす世帯です。
- 令和7年度の住民税均等割が非課税の世帯
- 令和8年1月支給分の児童扶養手当を受給している世帯
- 令和7年1月以降、予期せず収入が減少し、住民税非課税相当の水準になった家計急変世帯
支給額は1世帯当たり2万円です。
過去に給付金を受け取った世帯には1月下旬に「支給のお知らせ」が送付され、原則として手続きなしで2月下旬から順次支給されます。
対象の可能性があるものの受給歴がない世帯には、1月下旬以降に「確認書」が届きますので、返送またはオンラインでの申請が必要です。
家計急変世帯に該当する場合は、自身で申請書を提出する必要があります。
申請期限は令和8年4月30日ですので、ご注意ください。
2.2 【荒川区】物価高騰対応給付金の概要
荒川区では、世帯ごとではなく個人を対象とした給付を行っており、区民全体を広く支援している点が特徴です。
荒川区の給付金事例3/4
出所:荒川区「物価高騰対応給付金」
支給対象は、令和7年12月25日時点で荒川区に住民登録がある方です。
令和8年3月31日までに出生した子どもも対象に含まれます。
支給額は区民1人につき4000円で、世帯主の口座に世帯全員分がまとめて振り込まれる予定です。
過去に荒川区から本人名義の口座で給付金を受け取ったことがある方などは、原則として申請は不要です。
2月中旬以降に「支給通知書(はがき)」が届き、一定期間が経過した後に自動で振り込まれるため、すでに手続きが完了している方もいるでしょう。
上記に該当しない方には3月下旬以降に「申請書(黄色い封書)」が送付されるため、オンラインか郵送での手続きが求められます。
申請期限は令和8年6月30日(必着)となっています。
2.3 【新宿区】物価高騰対策臨時給付金(令和7年度低所得者等支援)の詳細
新宿区では、住民税非課税世帯に加えて、所得が一定水準以下の世帯も対象とし、要件に応じて段階的に給付を実施しています。
支給対象は、令和7年12月1日時点で新宿区に住民登録があり、以下のいずれかに当てはまる世帯です。
- 世帯全員が令和7年度住民税の均等割または所得割が非課税などの世帯
- 世帯全員の令和7年度住民税における合計所得金額の合計が300万円未満の世帯
支給額は、1の非課税世帯などが「世帯員1人当たり1万2000円」、2の所得300万円未満の世帯が「世帯員1人当たり6000円」です。
公金受取口座を登録している方や、過去に口座振込で給付金を受給した世帯には、2月27日以降に「支給案内(圧着はがき)」が送付されます。
原則として手続きは不要で、3月27日から順次支給が開始されています。
一方で、口座情報の確認が必要な世帯には、3月9日以降に「確認書」が発送されるため、内容を記入して申請する必要があります。
申請期限は令和8年6月30日です。
新宿区の給付金例4/4
出所:新宿区「新宿区物価高騰対策臨時給付金(令和7年度低所得者等支援)のご案内」
申請期限の令和8年6月30日を過ぎると給付金を受け取れなくなるため、書類が届いた方は早めに手続きをすることが推奨されています。
3. 手続きの期限に注意!過ぎると「辞退扱い」になる可能性も
給付金の支給対象者であっても、自治体から「確認書」が届いた場合は注意が必要です。
内容を確認して、口座情報といった必要事項を記入し、期限内に返送またはオンラインで申請しなければ給付金は受け取れません。
提出期限を過ぎると「給付金の受け取りを辞退した」と見なされることがあります。
そのため、書類が届いたら、できるだけ速やかに手続きを完了させましょう。
自治体によっては、現金ではなく商品券や電子クーポンで給付を行う場合もあります。
詳細については、お住まいの自治体の広報誌や公式ホームページなどで確認することをおすすめします。
4. 自治体の情報をこまめに確認しよう
物価高騰が続くなか、国の交付金を活用した自治体独自の給付金は、家計を支える上で重要な制度です。
しかし、今回紹介した事例のように、自治体ごとに制度設計は大きく異なります。
「世帯一律の定額支給」や「区民1人当たりの支給」、「所得額に応じた支給」など、対象者や申請スケジュールもさまざまです。
手続きの漏れがないように、お住まいの自治体からのお知らせや広報誌、公式ホームページを定期的に確認し、対象となる方は忘れずに申請手続きを進めましょう。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 総務省「個人住民税」
- 神戸市「住民税(市県民税)とは」
- 練馬区「令和7年度第2回物価高騰対策給付金のご案内」
- 荒川区「物価高騰対応給付金」
- 新宿区「新宿区物価高騰対策臨時給付金(令和7年度低所得者等支援)のご案内」
- LIMO「【独自の給付金】1世帯2万円など自治体ごとの支援が続々!主な対象となる「住民税非課税世帯」とは?勝手に振り込まれる人・申請が必要な人の違い」
マネー編集部社会保障班